手切れ金

第1話

「もう諦めたらどうですか?」



冷たく言い放つその顔。



私に対する、嘲りが滲んでいる。



「あなたも大人だから分かるでしょ?

遊ばれていたんだって」



その言葉が、私に絶望させる。



「貰える物貰って、大人しく引き下がって下さい」



私とこの男の間にあるテーブルの上には、

厚みのある茶封筒---…。



許せない…。



そう思ったのは、私を遊んで捨てた男ではなく、この目の前の男。



その茶封筒の横には、最初にこの男に差し出された名刺が置かれている。


弁護士だと名乗り、彼の代わりにこの男が別れ話に来た。



滝沢斗希。



たきざわとき…。



私が復讐する、その男の名前。

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