第403話
私は、いつもの癖で
自分の髪に触れようとして、
触れようとした髪が無くて、
小さく、アッ、と
声を漏らした
私は、自分で自分の髪を
切り落とした事を、
忘れていた
「バーカ。自分で切り落としたんじゃん」
涼はいつものような口調で、
そんな私にそう言う
「そうだね」
私はそれが嬉しくて、
笑顔を浮かべていた
だけど、その笑顔も
直ぐに消える
涼は私の方を必要以上に
見る事無く、
先々に歩いて行く
私は涼の後を追い、
フェリー乗り場に向かった
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