第396話

私は涼の体を、

強く、強く抱きしめた



涼に掛ける言葉が

見つからなくて、


自分の気持ちを伝えるには、

こうするしか出来ない



涼を苦しみから、

救ってあげたい



だけど、涼には

私のその気持ちは煩わしく、

邪魔なだけだろう





「もう、どっか行けよ」



涼は遠慮の無い強い力で、

私の体から離れる





「いやだ…。

私は涼から離れたくないっ。

邪魔なら、私を殺せばいいじゃない…。


でなきゃあ、

私は涼から離れない」



私は駄々をこねる

子供みたいに、

そう強く言っていた



そう言われて

涼が困るのも、

分かっていた



だけど、涼は私のその言葉を聞いて、


諦めたように

小さくため息をついた

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