第395話

「あの女は、男にだらしなくて、


いつも違う男を

あの狭いアパートに

連れ込んでた。


俺はいつも、

あの女が男に

抱かれている声を、


聞きたくないのに

聞かされていた。


想像したくないのに、

あの女が汚く乱れている姿が頭に浮かんで…。


自分自身も、

あの女がこの汚い行為で

作り出した物体なんだと

思うと、


自分のこの体全体が

汚く思えた…。


母親に愛されていない事にも、

納得が出来て…

俺は汚いからなんだって…」



涼の言葉は、

一つ一つが私の胸を

貫くように、


重く鋭い



聞いていて、

耳を塞ぎたくなる



だけど、

私なんかよりも

もっと涼の方が辛いだろう



涼は言葉に詰まったように、

黙り込むと、

大きな声を出して

泣いていた



それは、泣き声と言うより、

叫びに聞こえる

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