第393話

「俺が二重人格じゃないって言っても、


驚かないんだ?」



涼は私の目を覗き込むと、鼻を鳴らし笑った



「分かってたんだ?

俺が人殺しなんだって?

俺の中に誰も居ないって?」





「…分からない。

今も信じられない…。

涼が誰かを殺していたなんて…。

お母さんの事も…。


そして、今私の目の前の涼が、


さっきからそんな事ばかり言ったりするのも、

私には…信じられない…」



私の目から涙が溢れて、

涼の顔が滲む



涼が、今迄自分のしていた殺人全てを

忘れていたと言う事も、


二重人格じゃないと

言う事も、


どう受け止めていいのかも、

分からない



だけど、やはり涼が

殺したんだと、


どこかでは

そう思ってしまった



私は涼が

誰も殺していないと、


信じていなかったの

だろうか…

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