第210話

「私、夕べ見た事は、

誰にも言わないから。

涼が…。


だから…だから…。

ごめん。

帰る」



咲はそう言うと、

慌てて俺から離れて行く



咲の後ろ姿を見て、

何とも言えない気持ちに

なった



あの様子だと、

俺が二重人格だと言う事を、

信じていないだろう



そして、予想した通り、

アイツが女を殺す所を、

咲は見たんだろうな…



咲にそれについて聞きたい事は沢山有るが、


咲の口からは、

聞きたくない



人殺し…



咲にそう言われるのが、

怖い

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