第3話 覚醒剤と副作用
「死んだ。とは?一体誰が」
「まあ。落ち着けって」
勇者はそう言い、ポケットから煙草を取り出す。
「はあ……もう効かねぇな『ファイヤー』……でもないよりはましだ」
プスー。プハー。勇者の口から煙が出る。
「次に死んだのは騎士だ」
「騎士様ですか?なぜ?あのお方はこの国一番の最強ですぞ?」
「わかんねぇか?最強だから。だ」
「……?はて?いったいどういことで?」
「あいつには魔力がなかった。だから戦闘の時あいつは無策に突っ込むしかなかった。だから……そうだ。国王さん。これ何かわかるか?」
勇者はそう言うと、瓶を取り出す。
その瓶の中には、
「いえ。存じません」
プスー。プハー。勇者の口から煙が出る。
「はぁ……わかんねぇか。これはな、回復薬だ」
「回復薬?……で、ですが私の知る限りでは、回復薬は緑色のはずですが……」
「まあ。ここいら一帯じゃそうだよな。これは魔王城付近で採った薬草を調合したものだ。これが俺たちが見つけ出した中でも、最高の回復薬だ。……つっても、わかんねぇか」
勇者はそう言うと、腰に提げてある剣を取り出す。
「ほら。これマスターソード。一応伝説の剣な」
勇者はそう言うと、何を思ったか、剣を空高く投げる。
剣は空中を舞い、重力により急降下する。
すると、剣は勇者の腕に綺麗に落ち、勇者の腕がばっさりと落ちる。
「どっ」と、壇上には勇者の腕が落ちる。
それとともに、国民は次々に悲鳴を上げた。
そうすると、勇者は自分の腕に、先ほど持っていた紅色の回復薬をかける。
すると、勇者の腕はまるで意識があるかのように、勇者の元へと戻る。
「はーい。これマジック。種も仕掛けもありません」
勇者は気怠げにそういう。
「まあでも、種も仕掛けもないかわりに、副作用がえぐいんだけどね。吐き気とか頭痛とかね」
「なんですか!?これは……まるで魔法ではありませんか!」
「はいはい。まあこれでこんな反応されると、ちょっとおもしろいんだけどね。これは魔法じゃなくて、薬だから」
プスー。プハー。勇者の口から煙が出る。
またもや、勇者は煙草を地面に投げ捨てる。
勇者はポケットに手を入れ、ガサゴソとポケットを探るが、目当て物がなかったのか、不満げな表情だ。
「やべぇ。煙草切らした」
そういうとともに、勇者の手が震えている。
「あー。やべぇ。頭ガンガンする。とりあえず騎士の話が終わったら、休憩挟ませてくれ」
「あ、はい。わかりました」
「はい。さっきみせたような回復薬を使いまくったんだな。あいつは、それでな。まあ、あれにはとんでもない副作用があってな使った体の部位。まあ回復薬をかけた体の細胞が壊死するんだ。それで最終的に全身の細胞が死んで、あいつは死んだ。まあ、全身が粉々になった時もこの回復薬使ってたからな、必然っちゃ必然だ。」
勇者の手は震えている。
魔王を倒した者とは思えないほど、まるで生まれたての小鹿のように震えている。
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