第14話。天使様がそんなに大事か

『?????』

刹那。


ドンッッッ!!!


ケイト・クリムゾン・カノン・黒ローブの少年の

いる空間が、総て爆ぜた。


……ところまでを記憶して欲しい。


******

『僕』

「あー、一回しんだ。」


『カノン』

「え、え、なんで?カノンは、どうして……」


『僕』

「生きているのかって?そりゃ僕のお陰、

 ではないんだなこれが」


『カノン』

「んにゅ?」


『僕』

「だから可愛い反応しないで」


『カノン』

「かわいい、って思うの?」


『僕』

「だからさ」


『ダウト』

「青春している場合か、お二人さんよ」


『?????』

ダウトは、黒ローブの少年とカノンの首根っこ

を掴んで廃棄場のゴミ山の上に立っていた。

最凶オールナッシング】の詠唱開始と

同時に二人を緊急避難させたのだった。

勿論、詠唱して肉体を強化した上で。

最短詠唱。


『ダウト』

「スキな女の為にやれるところ見せようぜ!

 【去勢あしたは筋肉痛だな】」


『?????』

まあ、それを最短詠唱したのでダウトの体中の

筋肉は悲鳴を上げ始めていた。

ダウトは言う。


『ダウト』

「……身体動く内にお前ら置いて帰っていいか」


『僕』

「ダメでしょう」


『カノン』

「こ、この人は……?」


『僕』

「ああ、僕の上司だよ。てか、カフェであった

 変態」


『ダウト』

「悪印象与えるなよ青少年」


『カノン』

「というか…黒魔導士??」


『ダウト』

「だな」


『?????』

ダウトは言い終わるが早いか、身構える。


『僕』

「?…ダウトさん、展開が読めます」


『ダウト』

「ああ、だいたい想像している通りだよ青少年。

 …やはり奴ら、自爆覚悟で動いてなかったな

 …カノンちゃんよ。オレみたいに最短詠唱で

 身体能力上げられるのはどっちだ?」


『僕』

…僕は爆発を起こした方を示して欲しかったが、

そうは問屋が卸さなかった。


『カノン』

「…ん。【最凶オールナッシング】したケイトじゃないの。

 紅凛。」


『?????』

と、

ガラリ、と。

下の方のゴミ山の中から、誰かが動く気配がした

クリムゾンだ。


『クリムゾン』

「…【あーあ明日は予定を変更しよう、休みだ。

 血昇オーバーヒーリング】」


『?????』

言うと、クリムゾンの身体が輝きだし、

爆発での傷が癒されていく。

それをよそに、ケイトがクリムゾンの足元に

這いずって出てきた。


『ケイト』

「…おい。私にも詠唱してくれないかい」


『クリムゾン』

「おいおい。最短詠唱でお前を庇ってやったの

 だから欲張るなぁよ。第一それ目的で

 自爆するなよ馬鹿」


『ケイト』

「確かに軽傷だが…足が…」


『クリムゾン』

「……ったく。【お前も休めよ?血昇オーバーヒーリング】」


『?????』

今度はケイトの身体が輝き出し傷を癒していく。

…それを遠目から確認したダウトは、嘆息して

言う。


『ダウト』

「…やっぱり帰りてえ」


『僕』

「だからダメですってば」


『ダウト』

「だって相手方のほうが余裕あるだろ絶対。

 オレ直ぐに戦闘不能になりそうだし。

 あーもう身体が動かないなー。

 何かご褒美無いと動けないなー」


『僕』

子供か。と、僕は思いつつ、カノンに言う。

「なあ。カノンの友達、呼べば直ぐ来る友達?」


『カノン』

「え?この状況で?」


『僕』

「ちゃうわ。…明日以降に、って事」


『カノン』

「?うん…たぶん、ね。なんで?」


『僕』

「それだけ確認できれば充分」


『カノン』

「???」


『僕』

僕はダウトに向き直り言った。

「カフェであった娘、覚えてますよね?

 もう一度カフェのセッティングして

 いい目見させてあげますから!

 お願いします!」


『?????』

その言葉に口をあんぐりと開けるダウトとカノン

先に口を尖らせながら言葉を発したのはカノンで

あった。


『カノン』

「このー!?名も知らない人が勝手にミーの

 予定をきめるなー!」


『僕』

「しょうがないじゃん、それしか浮かばなかった 

 んだから」


『カノン』

「それしか、じゃなーい!ミーは犬猫じゃない

 んだぞっ!」


『僕』

「え、でも猫っぽく無い?」


『カノン』

「なーい!」


『僕』

「えー」


『?????』

えー、じゃなーい!、などと小競り合いが

始まる中、ダウトは、ふと、笑った。

そして、二人に聞こえないように言った。


『ダウト』

「…はは、最高に青春してやがる。

 オレが総て、失ったものだ。

 …少しは、混ざってもいいか。少しだけな」


「……おい!!」


『?????』

ダウトの叫びに、黒ローブの少年とカノンは

顔を上げた。確認したダウトは言う。


『ダウト』

「天使様がそんなに大事か!

 助ける人が居るか?

 オレが居るから心配するな青少年と美少女!」


******


『?????』

ダウトの叫びに反応したのは、カノン達だけでは

ない。

クリムゾンとケイトもだ。


『ケイト』

「やはり、生きていますよね。

 …今度は、確実に私が全力で仕留めます」


『クリムゾン』

「おいおぃ、拙者のことを忘れるなよ

 少しは血腥い戦場にしてやろうぜ」

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