第8章:交錯する新しい日々
るるちの新たな挑戦
新しい活動名で再出発を果たしたるるちは、慎重ながらも前向きに配信活動を続けていた。赤や黄色に色づいた木々が窓の外を彩り、すっかり秋の装いとなった街並みの中、るるちは部屋で配信を終えたばかりだった。
「よし、今日も無事に終わった……。」
深呼吸をして椅子にもたれかかり、スマホを手に取る。メッセージアプリを開くと、晴人への短いメッセージを送った。
「霧島さん、今日の配信も無事終わりました!まだまだ不安だけど、少しずつ慣れてきた気がします。」
すぐに返信が来た。
「お疲れさまです!新しいスタートをしっかり切れてますね。見ていて安心しました。」
その文面に、るるちは小さく笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。霧島さんもお仕事順調ですか?」
「まあ、少しずつですね。甘坂さんが頑張ってる姿を見ると、俺もやる気が出ます。」
二人の会話は短いものだったが、互いに励まし合う温かさがそこにあった。
晴人の新しい環境
晴人もまた、新しい職場での日々に少しずつ慣れていった。昼間は秋晴れの空が広がり、乾いた風が建物の間を吹き抜ける中、彼はオフィスの一角で黙々と業務をこなしていた。
昼休み、同僚が晴人に声をかけた。
「霧島さん、最近表情が柔らかくなりましたね。なんだか良いことでもあったんですか?」
「えっ、そうですか?いや、特に何も……。」
照れながらも、心の中でるるちの存在を思い浮かべていた。
「まあ、いろいろプライベートでも挑戦してるところです。」
「いいですね!応援してますよ。」
その会話の中で、晴人は自分が前を向いて歩いている実感を得ていた。
既視感のある視聴者
るるちの配信活動が少しずつ軌道に乗り始めた頃、ある日彼女のコメント欄に見覚えのある名前を見つけた。
「キリシマン……?」
画面には、どこか彼を感じさせるコメントとギフトが並んでいた。るるちは少し驚きながらも、コメントを読んでみた。
「今日も楽しかったです!元気をいつもありがとう!配信応援してます!」
その優しい率直なコメントに、るるちはすぐに気づいた。
「霧島さん……。」
配信が終わった後、るるちは晴人にメッセージを送った。
「霧島さん、もしかして今日コメントくれてました?それにギフトまで……」
晴人からの返事は短く、しかし誠実だった。
「バレましたか?どうしても応援したくて。」
「ありがとう。でも、無理しないでくださいね!」
そのやりとりを通じて、るるちは晴人がどれだけ自分を支えてくれているかを改めて感じた。
新たなステップへ
るるちは、晴人とのやりとりから元気をもらいながら、次の配信企画を考えていた。
「もっと視聴者と楽しい時間を作りたいな……。」
彼女はカジュアルなパーカーを羽織り、少しだけ緩んだ金髪のツインテールを指で整えながら思案にふけっていた。新しい挑戦への意欲が湧いてくる一方で、過去の出来事がふと頭をよぎることもあった。けれども、今はそれを恐れるよりも、自分を信じて進むことを選んでいた。
一方、晴人も新しい職場での評価が上がり始めていた。同僚や上司からの信頼を得る中で、次第に自分に自信を持てるようになっていった。オフィスの窓から見える赤く染まった木々に目をやりながら、彼は静かに新しい目標を胸に刻んでいた。
二人はそれぞれの場所で新たな挑戦を続けながら、互いの存在を支えにしていた。
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