どこかのラノベでみたな、サンタクロースがなんとか

 中学校では男子女子別れて誕生日順に出席番号が決まっていたけど高校からは苗字順で並ぶらしい。どこかのラノベでみたな、サンタクロースがなんとか。


「嬉しい?」

「別に」


 嬉しくはないが楽ではある。

 窓際から2列目の最後尾というラッキーなポジションというラノベにありがちな席配置。オレたちの席に向かいカバンを置いて再び葉介たちの席に行く。


「あんたら夫婦が離れることってあるのかな?」

「夫婦じゃねぇよ。お前らこそ夫婦じゃろがい」

「えへん」


 悠希と葉介も付き合い始めたがまたそれは別の話。ニヤケながらからかってくるからからかい返したらドヤ顔で返してくる悠希。こいつ無敵か?


「いやぁ夫婦だなんて嬉しいねぇ~」


 頬に手を当てながら嬉しそうにくねくねしているななか。こいつも無敵か?


「ふ、夫婦はまだ早いよぉ……」


 夫婦は否定するも席を入れることに否定はしない葉介。こいつも無敵かよ……。


「お前ら見てると疲れるわ……」

「祥が言うセリフじゃないね。鏡貸そうか?」


 いらんわい。


「みんな揃ってるわね? 全員席に座って」


 先生が入ってきた。


「それじゃあまたあとでね」

「だな」


 とりあえず解散してオレたちは席に着いた。


「優しい先生だといいね」

「まぁそうだな。あまりうるさくない先生だといいな」

「楽しい先生」

「話が長くない先生」


 小声でしゃべる。言いたい放題である。












 入学式も終わり部活動紹介も体育館で行われた後、教室に戻って自己紹介や先生の話、すべてのイベントが終わって現在は帰宅時間。オレたちは教室で駄弁っていた。つまり時間つぶししてる。


 テーマは先生が言ってたやつだけど普通の入学おめでとう話から購買の利用やら部活への入部についてだった。

 入学おめでとうの話はそのままで将来に向けてがんばれをそれっぽい言い方で長くしゃべっていた。


 そして購買は前世も含めて利用したことなかった。だって食堂じゃないし移動販売みたいなパックで販売されているからあまり興味が惹かれないんだよね。


 それに部活もなぁ……部活動紹介については野球部がサッカー部の宣伝をしていた。自分たちの紹介でもしなよ。騙されて野球部に入った前世のオレもオレだけど。野球部だったけどもエンジョイ勢のような活動だったし、今世ではやることもあるからあんまり興味惹かれないんだよなぁ……。オレ興味なさすぎでは?


「声楽部興味あるけど時間ないかなぁ……」

「美術部はおいらも気になるけど同じくかな……」

「ボクはバイトでもしようかなぁ」


 オレは習い事のほかにMIXとか編集のバイトでも探そうかなぁ……。

 ななか習い事はななかと一緒にボイトレだけども。よく続いているもんだ。


「まぁ活動に支障がでなければお任せするよ。というかななかは事務所の件もあるんだから部活動は余計に無理じゃない?」

「うーん、そうなんだよねぇ……」


 ななかはついに事務所に所属することになったから声優への道がぐっと近づいた。と言っても研究生だから見習いのような扱い、預かりという状態。


「事務所ってどんな感じなの?」


 悠希が質問をするけどそれはオレも気になる。


「うーん、なんだろうねぇ?」


 知らんよ。


「ずっとレッスンみたいな感じだし、ボイトレは今習ってることとだいたい同じみたいな内容だしダンスレッスンは新鮮だけど……声優なのにアイドルみたいな感じ?」


 それはもうアイドルなのでは?


「でもあれじゃない? アイドル声優みたいな感じの」

「研究生全員女子だしたぶんドル売りも考えてるのかな?」

「そうなったらやめるん?」

「そうねぇ、やりたいことじゃないからすぐに辞めるかな」

「それならこっちで同人声優でもやってもらえばいいからな」

「アニメ企画?」

「時代はスライドアニメよ」


 店頭のポップアニメみたいな感じ。


「葉介にデジタルイラストで描いてもらえれば動画で作れるし」

「おいらまだ漫画すら描いたことないんだけどね」

「でも描こうと思えば描けるっしょ?」

「まぁ、うん、ね」


 自信なさそうにうなずく葉介。


「5年近くイラストの無茶ぶりに答えてきたんだから葉介ならいけるべさ」

「べさ?」

「描き方違うけどでもやることは同じでしょ」

「あー、うん? そうなのかな?」


 もっと自信持ってくれてもいいんじゃない? オレが無茶言ってるだけかもだしそもそも界隈違うしで疑問に持たれるのは仕方ないんだろうけど。


「じゃあ次の企画はアニメ企画?」

「やりたい、と言えばやりたいけど葉介の負担がでかいんよな」

「おいら頑張るけど?」

「いやそういう問題じゃないんだよね」

「そうなの?」

「そもそもあなた漫画描いたことないでしょ?」

「あ、そうだった」


 大丈夫かイラスト担当。画力は間違いなく上達したしイラストに奥行きもしっかりでてきたから同年代ではイラストに限ればトップクラスだと思う。あとはシナリオ次第。


「あとシナリオも考えないといけないんだぜ?」

「あ、それならボクが考えるって言うのは?」

「まぁそれが無難よな」

「原作悠希の漫画葉介って感じ」


 分業すれば行けるでしょ。

 最悪間に合わなかった場合はどうにかすればいいしな。

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