2章 カノジョのススメ

ななみさんじゅうごさい

新章突入です。

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 高校1年の夏、オレたちは無事同じ学校に入学した。家から近いそこそこ偏差値が高い高校という条件で探した結果、前世で通っていた学校にすることに決めた。あとはななかの偏差値がそこまで高くないのと移動時間がもったいない、そしてななかと悠希の希望で可愛い制服が着たいっていう理由。ちなみにオレと葉介はなにも意見をだせなかった。近ければいいや派で正直学力は偏差値60近くだからだいたいの高校は選べる立場だった。なおななかは偏差値50、知ってるか? これでも勉強した方なんだぜ……。


 そんなことで条件を満たせる理由が近くに普通科の1校しかなかった。そしてそんな高校の入学式が今日だ。


「ハンカチは持った? ティッシュは?」

「大丈夫だよ母さん。どっちも持ったし今日は午前中だけだからすぐ帰ってくるよ」

「そう? それじゃあ気を付けてね?」

「うん、行ってきます」


 そうして玄関の扉を開ける。雲一つない晴天と寒すぎない穏やかな気温。そして玄関前には美少女がいた。


「祥平おはよう」

「おはようななか。制服似合ってんな」

「うふふ、ありがとう」


 ひまわりのように爽やかな笑顔を浮かべるブレザーに身を包んだななかは今日も元気だった。

 紺色二つボタンのブレザーに赤のネクタイ、灰色と白が合わさったチェックのスカート。高校指定の紺色ハイソックスにローファー履いてきちんと着こなしている。男? 同じ制服のボタンが2つじゃなくて3つになってズボンがスラックスになったのと靴は自由。正直好みがないからオレらはローファーを履いている。


「祥平ネクタイ曲がってるよ」

「曲がってないわ。着替えの時も出発前にもちゃんと確認したわ」

「つれないねぇ。おとなしくネクタイ弄らせてよ」

「……しょうがねぇなぁ」

「にひひ、ありがと♪」


 どうせ後で拗ねるんだろ、とわかっているので仕方ないから今のうちに好きに触らせる。


「はい、これでよし。それじゃあいってらっしゃい」

「いまから一緒に行くんだよ」


 ……ハズイからそれ以上は言わなくていいからな。


「うーん、家から10分以内な高校最高!」

「よかったな合格して」

「おかげで可愛い制服をもう一回着れるんだから嬉しいよねぇ」

「オレは気持ちがおっさんに近いからか制服がちょっと恥ずかしいんだけど」

「そのうち慣れるって」

「前世から合わせて40近く過ぎてるんですがコスプレしてる気分はいかがですか」

「殺すぞ」


 本気じゃんコワ……。ななみさんじゅうごさい、年齢は今もNGらしい。


「それじゃあ行こうか」

「葉介たちは?」

「先行ってるって」

「薄情者かな?」


 まぁオレたちが邪魔なだけだろうね。


「あいつらも付き合い始めたからな」

「意外といえば意外だけど納得でもあるよねぇ」

「葉介が押し切られたのが決め手だな」

「悠希ちゃんが頑張った結果だよ」


 主観の違いらしい。


「というか10分ならまだまだ寝れたよな……」

「いつもなら寝てても良いけど入学式くらいは早く教室良いじゃない?」


 まぁそれもそうか。


「時代かなぁ。スマホ持ってっても怒られないからいいよねぇ」

「ゲームも漫画も怒られないからな」

「趣味に傾倒してるのになんで頭いいの? 普段はバカなくせに」

「急に刺してくるやん」


 普段もバカするのはあなたもでしょ。


「こういう入学式のときって主人公だったらモノローグでも入るんじゃない?」

「まぁ言いたいことはわかる」

「祥平ならなんてモノローグいれる?」

「無茶ぶりすぎない?」

「ライターなら頑張ろう」

「ライターはオレじゃないのよ」


 悠希の出番なのよ。


「まぁ入学式と桜については触れるよな」

「「何を思い浮かべるか」とか「ひらひらと舞う桜が」とか?」

「まぁ無難な導入だよな」

「あとは遅刻イベントとか入学式の深堀とかね」

「もはや自分で考えてるじゃんか」

「あはは~、妄想だから楽しいんだよ」

「それはわかる」


 どうでもいいけど


「あとはアレだな。オタクをあぶりだすゲーム」

「良い意味? 悪い意味?」

「良い意味以外にあるかよ」


 悪い意味って最悪じゃん。


「これが2年の頃ならまだわかるんだけどねぇ」

「言いたいのはアレだろ、1年のときに知り合ったクラスメイトと合流するやつ」

「それがキチガイ行動してるときに遭遇する悪いパターン」

「それは悪い意味だわ」


 でもそんな遭遇嫌いじゃないよ。

 入学式なのにしょうもない話をつづけながら学校まであるくこと10分ほど。

 オレたちは入学する高校に着いた。校門をくぐってクラス分けが張り出されている場所に向かい名前を探す。


「オレたちの名前あるかな?」

「それよりも悠希ちゃんたちと同じクラスだと良いなぁ」

「文系クラスだから一緒になれるでしょ」

「3クラスに別れてるからわかんないよぉ?」

「あ、発見。5組」


 どうやらオレとななかは5組らしい。


「女子の方が多いから見つけづらいね……あ、私も5組だ。悠希ちゃんもいる!」

「葉介も同じだな」


 幼馴染組は同じクラスにまとまっているらしい。やったぜ。



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hosikudaSai

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