第2話 【原作】 ⚠️鬱展開
ここで原作でのこのイベントをしっかり思い出しておく。
『パパ! 遥香お姉ちゃんの背中に呪いが!!』
『なに!?それは本当なのか?』
『どうしよう!遥香お姉ちゃん、死んじゃうの!?』
しかし、それには誰も答えてくれない。…それから程なくして、調査隊が組まれることになった。それは呪い殺しの大人たちと、それから羽美。彼らはまず呪いが住んでいた家を調べることにした。
…だが、そこには変なものは何もない。たった一冊のノートを除いて。
【⚪︎月×日
今日は私が生まれた日。どうしてこんな場所にいるのかよく分かってないけど、せっかくなら楽しみたいな。
⚪︎月×日
今日は私に初めてのお友達ができた。この調子でもっともっとお友達を作るんだ。頑張るぞ!
⚪︎月×日
今日はお友達のお友達がたくさん来てくれた。彼らと遊ぶのはとっても楽しかった。やっぱりお友達は多い方が楽しいな。
⚪︎月×日
…どうして、こんなことになっちゃったんだろう?
⚪︎月×日
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】
『なっ! この日付、何人もの人が集団で変死していた日なんじゃないか!?』
『…確かにその通りです! きっと、呪いに喰われたんだ!! あの呪いは人殺しの悪だ!!』
『…これ、遥香お姉ちゃんの日記?』
慌てて飛び出した大人たちが放り出した日記を拾ったのは、未だに理解が追いつかない羽美だった。それをそっと開くとしげしげと読み始めた。
【⚪︎月×日
こんな私を慰めてくれる人がいた。まだ幼い彼女は私を姉とよんでくれた。
⚪︎月×日
彼女とも仲良くなってきた。今度は彼女のお友達も連れてくるって張り切ってた。…正直、不安でいっぱいだ。
⚪︎月×日
彼女が連れてきたのはヤンチャそうな男の子と優しそうな男の子だった。…まだ、子供なら大丈夫、だよね?
⚪︎月×日
彼らともすっかり仲良くなってきた。もし、彼らが私の過去を、正体を知ったら、怯えられる。だから、隠し通さなきゃ!
⚪︎月×日
私は彼らともっと仲良くなりたい。でも、私が一歩引いてるとダメだよね?だから私は彼らに鍵を渡した。…いつか秘密がバレるときがきても、分かってくれると嬉しいな
⚪︎月×日
遂に恐れてたときがきた。羽美ちゃんにこの呪いが見られてしまった。怯えたように私を見る目。私は取り乱しそうになったけどどうにか耐えた。もう、あんなことは繰り返さない!
⚪︎月×日
また、一人に戻った。辛い、寂しい、悲しい、心細い。だけど、あの子たちに会うわけにはいかない】
『いたぞ! やつだ!!』
『殺せ!』
まだほとんど読めない日記を眺めていた羽美。だけど、外が騒がしくなったことでそれを中断して外に出た。
『!? 遥香お姉ちゃん!!』
『羽美ちゃん!? 何でここに来たの!?』
『ご、ごめんなさい…。で、でも! 遥香お姉ちゃんが心配だった、から…』
『バカ! 来ないでよ!!』
だけど、この場にいるのは二人だけじゃない。動きの止まった呪いを見て好機だと確信した呪い殺したちは一斉に攻撃を仕掛けた。
『!? 危ない!!』
このままじゃ遥香は死ぬ。それを直感したのか羽美は咄嗟に遥香を突き飛ばした。思わぬ衝撃でよろめいた遥香が何かを言うよりも先に、べっとりとした何かが遥香の全身にかかった。
『…ウソ、よね? 羽美ちゃん? 返事してよ。いるんでしょ?』
…さっきまで普通に話していたんだ。違う、これはそんなんじゃない。そう、思おうとしても。全身にこびりついた血。それから血のついた武器を持った男たち。さらにさっきまで羽美がいた場所に溜まった血。
『ちっ、ガキのせいで失敗したか。次、いくぞ!』
『あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!』
その瞬間、遥香の中にあった何かがぷつっと切れた。能力の暴走。普段は使わないように意識してた反動で発動した遥香自身ももう止めることはできない。
遥香が感じている深い深い絶望感、無力感。それらが何十倍にもなって近くにいる人たちに襲いかかる。そんな中、正気を保てる人はいない。錯乱した彼らは次々と自爆していった。
だけど、無意識のうちでも遥香が能力の対象外とした人が二人いた。それが羽美の友達だった二人だ。
『もうやめて、遥香姉さん!』
そんな必死の叫びで何とか正気に戻った遥香だった。…だが、繰り出した拳はすぐには止まらない。
『…よか、た』
『…ウソ、よね?』
自分の腕が深々と優しい彼の体を貫いていた。そんな致命傷を与えたのは、間違いなく遥香だった。よかったと言った彼を、大切だったはずの彼を殺したのは…。
遥香は気が狂いそうだった。だけど、決してそんなことはできない。だって、それこそ殺してしまった彼に対して顔負けできないから。
『あ、あぁ、ば、化け物! 俺様の友達を返せ!!』
そんな瞬間に出てきたのはヤンチャな彼だった。遥香を憎々しげに見つめる瞳に全てを悟って受け入れた遥香は、男たちが持っていた武器を拾った。負けじとヤンチャな彼も武器を掴む。
まだ武器なんて持ったことのない、それこそ人を殺したりした経験なんてない彼は武器を持ち上げることすら難しかった。それでも懸命に前に進む彼を、遥香は何も言わずに待ち構えた。
『死ね、化け物!』
その言葉と共に振り下ろされた武器は遥香の命を摘み取った。
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