第10話 忘れたい
「今日も一日頑張りますか」
と腕まくりをする南さんの横で、朝から頭痛が酷く体調の悪い私。
「そうですね。」
「本田ちゃん、大丈夫?なんだか顔色悪いけど…」
「少し頭が痛くて…でも、薬も持って来たので大丈夫ですよ」
「無理しないでね。辛くなったら言いなよ。」
月末というのもあって大忙しの経理課。皆がせっせと業務をこなして居る中、1人目立って居る人物。
「戸田さん、悪いんだけど、これお願い出来る?」
仕事回らなくてと手を合わせる経理課の先輩。
「昨日、ネイルして来たばかりなので、タイピングをする仕事はできないんです。」
ニコッとアイドルスマイルで返事をするのは、中野さんの婚約者の戸田さん。
彼の婚約者として、なぜか経理課に配属された戸田さん。配属されてからというものの、正直居ても居なくても…という量の仕事しかしない。
「あ!翔さん!」
パタパタと中野さんに駆け寄っていく戸田さん。女の私から見ても、凄く可愛い。
「ああ。美希。」
ズキッと胸が痛む。視線の隅で2人が会話して居るのが見える。見たくない。見たくない。
今日は、特に見たくない。
「本田ちゃん?!」
そこで私の意識は、途切れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます