第7話 様子伺い(翔サイド)


昨日、彼女を振った。

「飽きた」と一言、振った。



飽きるわけないのに。こんな自分が嫌になる。



いつもの連絡に返信がなく、振った立場なのに不安になってしまった。本当、自分勝手だと思う。



「南、これ至急でお願い。」



気が付いたら、怜と同じ部署の同僚の所へ足が向かっていた。



「おー。ってそこはまず、おはようだろ。ねー、本田ちゃん。」



可愛い。今日も怜が可愛い。

髪の毛くるっとして、化粧も変わった…?雰囲気が何だかいつもと違う気がする。



気付いたら、怜をジッと見つめてしまっていた。



「間違いないです。挨拶から始めたいですよね。私、コーヒー淹れてきますね。南さんは、いりますか?」



「いいの?じゃあお言葉に甘えてお願いしようかな。」



は?と声が出そうになった。

お言葉に甘えんなよ。



「了解です。お砂糖なしのミルク2つですよね。」



「さすが、本田ちゃん!間違いないよ。よろしくお願いします。」



むかつく。

怜が南の好みを知って居る事も。

2人の会話から親しい間柄が見えるところも。



怜に話しかけられない自分が1番むかつく。



怜に向かって、ヒラヒラと手を振りながら、南が声をかけてきた。



「なぁ、お前と本田ちゃん。なんかあった?」



「なんで。」



「お前が本田ちゃんの出社時間に合わせてここにくるのがまずおかしい。それから、お前がこんな朝早くから俺に話しかけてくる事もおかしい。何より、お前のその顔と本田ちゃんの違和感がすごい。」



「別れた。」



「なぜ?」



何も言い返さない俺に察して南が口を開く。



「親父さんか。それでいいのか、お前は。」



俺は、何も言い返せず、その場を離れた。



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