第6話 様子伺い
「おはようございます。」
「「おはよう」」
挨拶をすれば、いつも通り、課の皆から挨拶が返ってくる。そのいつも通りが何だか嬉しくて涙が出そうになった。
「本田ちゃん、おはよう。」
「南さん、おはようございます。」
南 健太さん。
南さんは、翔と同期。私にとっては直属の上司であり先輩だ。くしゃっとした笑顔が凄く眩しく、太陽みたいなとても温かい人である。
南さんの隣にある自分の席に座る。
ふぅーっと一息吐き、机の上にパソコンや筆記用具を並べていく。整えて居ると、隣から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「南、これ至急でお願い。」
「おー。ってそこはまず、おはようだろ。ねー、本田ちゃん。」
なぜ私に振ってくる?とひきつる顔をなんとか緩めて、今できる精一杯の笑顔を作った。
「間違いないです。挨拶から始めたいですよね。私、コーヒー淹れてきますね。南さんは、いりますか?」
「いいの?じゃあお言葉に甘えてお願いしようかな。」
「了解です。お砂糖なしのミルク2つですよね。」
「さすが、本田ちゃん!間違いないよ。よろしくお願いします。」
はい、と返事をしながら給湯室へ急いだ。
なんで今日に限って、翔がいるの?
なんで今日に限って、南さんにお願いするの?
なんでそんなに私を見つめてくるの?
「昨日振ったくせに。」
ポツリと1人、給湯室で呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます