第5話 新しいスタート


あの後、結局返信ができないまま、次の日の朝を迎えた。既読が付いたので察するだろう。



どんなに悲しくても辛くても、朝はくるし、世界は何も変わらない。私だけ置いてけぼりな気分だ。



「よし!支度!」



でも、いつまでもクヨクヨしていられない。会社へ行く支度をしなければ。



いつもより念入りにフェイスケアをして、いつもより丁寧にお化粧をした。髪だって、良い香りのするオイルをつけて、クルッと巻いてみた。



「何だか今日の私、凄く可愛くない?」



ニッコリと鏡の前で笑ってみる。

失恋すると、綺麗になるっていうけれど、どうだろうか。



「行きますか。」



きっと出社すれば、翔に会うだろう。話すこともあるだろう。



「翔なんて、こんな可愛い私を振った事を後悔しちゃえばいいんだ!」



いつもかの為にとっておいた、いつもより少し高いヒールのパンプスを履いて、私は、会社へ向かった。

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