鳥居の奥

目を開けると、


そこには心配そうに顔をのぞきこんでいる


慧さんとイルムが居た。


「未唯!」


「良かった...」


「お主、突然走ったと思ったら神木の葉を持って鳥居の奥に進んだんじゃよ?」


鳥居の奥に進んだ?


全く覚えてない。


「未唯、鳥居の奥には何があった?」


「鳥居の奥には.....私の母が居ました」


「そうか...。」


「他にはなんかあったか?」


「いえ...特に...。」


何か忘れてる気がする。


私の母に会う前に誰かに───。


また私の頭がズキッと痛む。


この痛みは偏頭痛とは違う...


なにか理由があるような...


「お主、桜神社に訪れたんじゃな」


「桜神社?」


「うむ。桜神社は裏神社の1つじゃ」


「そうなんですか...」


「だが、お主のお母さんは死人じゃろ?」


「なんで知って...」


「...そこは気にしないでくれ」


「まぁ、死人と長く話したらお主の魂も消えるとこじゃったから早く帰ってきて正解じゃな」


このことをお母さんは知っていたのだろうか。


だから怒り慣れてないのに


わざと私を怒って帰らそうとしたのかな。


母の優しさは変わっていないようだ。


「未唯、大丈夫か?」


私が俯いていると心配そうに慧は私に尋ねた。


「大丈夫だよ!」


「良かった」


私が大丈夫だと伝えると


慧は安堵の声を漏らした。


余程私が心配だったのだろうか。




そういえばお母さんは


いつ亡くなったんだっけ?

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