雨と神木の葉
巫女の説明が終わり先程の場所に帰ると
イルムが拗ねて寝ていた。
またもや私の頬は上がる。
「イルム、ただいま」
そのとき、私の頭がズキッと痛む。
私は久しぶりの痛みにしゃがんでしまう。
「お主!大丈夫か!?」
「もしかして我のせいで....」
「違うから....」
「未唯!どうした!?」
後ろから驚いた顔で私に向かって走ってくる
慧さん。
「ごめん大丈夫だから」
そう言って笑う私。
どうか上手く笑えてますように。
というかこの痛み....
近いうちに雨が降りそうだ。
というか今まさに降りそう...。
早く本堂の中に入らないと...。
「本堂の中に行きましょう」
「何故だ?」
「雨が降ります」
「そんなわけないじゃろ」
そう言って笑うイルム。
そのとき、ザァーっと雨が降り始める。
「早く慧さんも行きますよ────」
そう言って振り返るが慧さんはとっくのとおに
本堂の屋根の下に居た。
「慧!お主ずるいぞ!!」
そう言って慧の元へ走るイルム。
「ちょ、置いてかないでよ!!」
「未唯、ほらタオルだ」
「....ありがとうございます。」
「どうした?拗ねてるのか?」
「拗ねてません!」
目を逸らした先には全く違う姿になった
イルムが居た。
また私の口元はにやけてしまう。
どうもここに居たら変な気分になるようだ。
すると、神木から1枚の葉が落ちているのが
見えた。
何故か惹き付けられるような輝きの葉っぱで
私はいてもたってもいられなくなり、
神木のもとへ向かった。
「未唯?どうした?濡れるぞ?」
遠くで私を心配する声が聞こえる。
だが、それよりも私はその葉が気になった。
神木の下に落ちた先程の葉には金色の文字で
『桜』と書いていた。
「桜....」
私はボソリと呟く。
そういえば最後に桜を見たのはいつだっけな...
確か、お母さんと見たような...
そのとき神木が白く光り、
私の視界は光に包まれて目を瞑った。
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