第9話 一か八かの条件下

そんなことを考えていると、


私は線路の遮断機の前に着いていた。


上下する肩で呼吸をしながら、


「5....4....3....2....」


と呟く。


『1』そう心の中で呟き、線路内に侵入する。


もし失敗したら死ぬかもしれない。


なのに私はなんてことをしてるのだろうか。


すごいスピードでそんな考えが頭の中を駆け巡る。


が、全く水中世界に行ける気配がしない。


もしかして失敗した?


気づけば遠くの方から電車が向かってきている。


『あ、終わった』


そう思った瞬間、ドプンと身体が沈む。




恐怖で瞑っていた目を開けると


「月ってば、案外無茶するんだね」


と呆れたように言う空くんが立っていた。


「良かった〜..行けた..」


「『行けた』ってことは自分の意思でここに来たの?」


「なんで?」


「青い彼岸花について聞こうと思って..」


「青い彼岸花?あぁ、糧の青花のことね」


「いいよ教えてあげる」


糧の青花?


こっちではそう呼ばれてるのかな。


「こっち来て」


そう言いながら私の腕を掴む。


ヒヤリとした氷のような冷たさが


私の腕に広がった。

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