STORY

@sacura

第1話 STORY


あたし、莉緒はずっと嫉妬してた。

人気者でファッションセンスの良い真琴に。

友達になりたかった。


でも、私は真琴の弟に屋上で告白される。

私の何に勃起したんだか分からないけど、真琴の弟を利用する事に決めた。


1学年下のサッカー部のエースだったっけ。


次の日、映画館のチケットを渡された。

私が見たかったやつだ。なんて言わないけど。


「私のこと好きなの?」


顔を真っ赤にする彼が可愛くて思わず笑ってしまった。

日曜日映画館デートをする約束をした。


初めてのデートだった。


朝目覚ましが鳴るとあいつの顔を思い出した。

真琴の弟君の彼。タケルくんだった。


今日、生理痛だった。休もうかなって思ったけど。

断れなかった。だって彼がバイトで買ってくれたチケットだったから。


でも、この映画、恋愛映画で面白くないんだよね。

男女の恋愛って気持ち悪い。本当に好きな相手とキスしてんのとか考えてしまう。


だから彼の飲みかけのジュースをわざと飲んでみた。

彼、あたしのことが好きだから。


わざと「間違えた」なんて言ってみる。


そしらトイレに行ってくるって、やっぱりあたしのこと嫌なんだ。

男の子が可愛いと初めて思った。


映画の最後はキスで終わる定番。かな。

1人で観るのはつまらないと何度も思った。


いつも1人で映画を観ていたから。


あ、そっか。健くん私のこと理解してくれたんだ。

キスシーンで初めて泣いた。感動はしなかった。けど、愛着が湧いた。


パンフレットを買って、彼を待った。

真琴のことが知りたくて、「お姉ちゃん、好きな人いるの?」って聞いてみた。


そしたらさ、健くん気づいたんだよね。


「もしかして、姉ちゃんのこと好きなの?」


だって。私の方が気持ち悪かったかな。

うん、そうだよ。なんてはぐらかして言ってみた。


だって、真琴が好きなんだもん。


「そんなに好き?ねーちゃんの事。」


なんて聞かれたから、「好きだよ。建君のこと。」って嘘をついた。


2話

大谷さんは莉緒の彼氏の事が好きだった。


大谷さんはずっと言えなかった、真琴ちゃんに「健のことが好きだよ」と。

でも糸川莉緒が付き合うと知った時、初めて親友の真琴に相談する大谷さん。


真琴に初めて本音をぶつけてみる。

「中学の頃からずっと片想いしてたんだ」って。


真琴はその時自分も告白をした。

「私はさあ、弟の彼女、莉緒のことが好きなんだよね」と。


大谷さんは「好きになったのが初恋だったんだねって嬉しいね」って言葉をくれた。

変じゃないよと肯定してくれる彼女はやっぱり親友で、そうかなって。


「憧れって言われるのかと思った」


「じゃあ、私も憧れかな」


「違うっ!」


と言った時、大谷さんは笑う。

「ほらね、私達ちゃんと恋してるじゃん」


一度きりの青春。

うちら恋してるんだって思ったら心が暖かくなった。


「今日これからどーする?」


「Mac食べたし、あたしの家来る?」


「んー!莉緒のこと見るの嫌だからいかないっ!」


うちらのこの一瞬の時間って、青春だったなあって。

今更ながらに思うんだ。


大切な時間無駄にしたくないよね。


3話

「ただいまあ」と長女の真琴が入って来る。

今日はMacを食べた後だった。


「かえり、」


「兄貴、バイトは?」


「休み」


「ふうん」


なんてたわいのない会話をしてみた。

でも本当に言いたいのは別のことで……。


「………俺、好きなやついんだけどさ」


「弟でしょ分かるよ気持ち、兄妹だし、私も女の子が好き。うちらって変なのかな」


静まり返った、耳鳴りがする中で、弟の健が帰って来る。


「今日デートしてきたんだけどさ、映画館だった……なんかあった?」


「別に」

「何にも、」


私達兄妹は付き合っている糸川莉緒と健が好きだと自覚し、嫉妬する。

いつもとは違う静かな食卓後にメールが鳴った。


『おかえり』


というメールに嬉しくなる、利用されても良いから振り向かせたいなあなんて。

どうしたら俺のこと好きになってくれるんだろうって、思って連絡してみた。


『姉貴の好きな人わかりました』


『誰?』


『俺でした』


なんてつい嘘を吐いてしまった自分を見て欲しかった。

私“竹内真琴”は、弟のことが嫌いだった。

だってずっとみてた糸川莉緒の事。


好きになった理由は今でも覚えてる。

「おはよう」って挨拶をしてくれたから、ただそれだけだった。


一匹狼でカッコよくて、カッコよくて嫉妬してた。莉緒に。

馬鹿にされても何ともない私のヒーローだった。


小学生の頃、莉緒は覚えてないかもしれないけど、一度だけ遠足で一緒に帰った思い出がある。

今、一緒に帰りたいって言えない自分が悔しい。


こんな友達が欲しかった。


それが恋だと気づくのに時間は掛からなかった。

手を繋いでくれた“莉緒ちゃん”胸が星みたいにキラキラと輝いたあの日の夕焼け空。


私の、初恋だった。


恋をするのに5秒も掛からなかった。

たった手を繋いだだけなのに胸が苦しくて、熱かった。


けど、初恋は実らないなら言って本当だね。

それを知ってしまうのは私の弟とのキスを見たとき。


初めて学校で泣いた。

屋上の階段の隅っこっで初めて泣いたんだ。

早川望は鈍足でくせ毛で、小さくて、堀城先生が好きだった。

でも、誰からも好かれないようににっこりも笑わない女の子。理由はモテたくないからだった。


生徒とはしゃぐ堀城先生を見つめては今日も1日頑張れる気がした。


好きな理由はひとりぼっちの私にでも声を掛けてくれたから。

本当は可愛くなりたいけど、好かれると女の子達に虐められちゃうから。


だから堀城先生の恋を応援するんだあ。


堀城先生の好きな人は大西先生、だって気づいたのはいつからだっけ?

だけど、大西先生は虐められる女子生徒から、だから私言ったんだあ。


「ブスが行きがってんじゃねえよ」って自分らしくもない言葉。


だから校舎裏に呼び出されて、女の子たちと喧嘩しちゃうけど負けちゃう。

髪の毛を切られるんだけど、大西先生が保健室でやさしく整えてくれて。


やっぱり2人のこと応援したくなるんだ。


私、先生の恋応援するよ!って言ったら先生泣いちゃうんだ。


髪の毛切った私に「可愛くなったね」って泣き腫らした目でいうのが可愛くて、一瞬で大西先生を好きになった。

堀城先生見る目あるねって。

俺、優希の話になる。

優希と健は幼馴染で、莉緒と付き合うことになったと後で聞かせられて。「は、」となる。

健とは幼少期からの親友で、妹がずっと好きだった奴。


妹にこのことを話すと、泣いてしまった。

「だってお兄のずっと好きな人だったじゃん!何で先に言わなかったんだよっばかたれ!」


思いっきり泣く私のことを宥めるように優しく「あほ、泣くな。俺まで泣きそうになる」


てっきり俺は妹の方が好きだと思っていた。

けど、妹に言わせれば俺の方があいつを好きだったんだって、今更自覚してつれえわ。


「あほ、妹、泣くな」と短くなった髪の毛をわしゃわしゃする優希お兄ちゃん。


次の日学校を2人で休んだ。

思いっきり楽しんでいるところを歩道された俺と妹。


「妹です」とお巡りさんに言うと解放してくれたが、莉緒と健がカフェでお茶しているところを見ていた。

学校帰りだろうか、制服だった。


あいつの好きな奴か、おめでとうなんて言えばどんなに良かっただろうか。

お世辞にでも言いたくない台詞。でも、


「お兄ちゃんがお世話になってます!」


「は?」


「おい!」と声を掛ける兄の優希。


「私、お兄っ!じゃなくて優希の妹と申します!何で付き合ったんですかっ私が好きだったのに」

と俺の気持ちを代弁してくれる妹が苦しかった。

オレ、竹内健。

オレの彼女が“オレの”姉貴が好きだったから、カフェへ誘ってみた。


「何で好きなの?」


「なんで、って……別に、ただ、何となく好きって思っただけ」


「嘘でしょ、莉緒さん。本当は……」


「挨拶されたから、だよ」なんて哀しい笑顔で言ってくるから何も言えなかった。

私、カフェの店長をしている加瀬愛子。

近頃、幼馴染の堀城が受け持つ生徒がここをデートスポットにしている。


映画を観た後にこの喫茶店へ入れば夢が叶うとか何とか、そんな理想な話、もっとロマンチックだったら良かったのにね。

だったら私と大西が結婚しても良いのにね。


あいつずっと好きだったんだよね堀城。大西の事が。だから大っ嫌い。なのに大西ってば、さ。

先生になるんだもん。頭おかしいよ。昔は一緒に働こうねって言ったのに。


大西のばかやろう。


「やっほー!」


「堀城!てめえ!」


「はは、ちょっと、たんまたんま、ほい!」


堀城の手には指輪のケースがあった。


「何これ、」


「じゃーん」なんてかぱっと開けるから、1カラットの指輪が重かった。嬉しかった。


当時はセックスフレンドで、体だけの関係。

カランと紅茶のコップの氷が鳴る。


「はっぴーばすでー!」


なんで誕生日覚えてるんだよ。なんて言わないけど。


「全然ハッピーじゃないけどね、もう28歳になったし、結婚できる歳じゃない。」


「それでも良いから、オレと結婚してほしい、本気で。」


「私は………、」

学校で喧嘩が起きる、男が女をぶん殴ったって噂になる。

殴られたのは莉緒だった。


殴った奴は真琴の兄貴だった。


「お前さあ、うちの弟泣かすなよ」


「……」


何も言わないのでその場から去る健の兄貴。

健はあの後、振られていた。それでも好きだって家で泣いていたから。ぶん殴った。


莉緒の兄貴が健の兄貴と接触する。


「お前さあ、莉緒のこと殴ったんだってな、糸川」


「真琴のこと好きだって言うから殴った」


「馬鹿の一つ覚えだな、死ねよクソ野郎」


蓮の友達が煽って来る。


「蓮こいつ殴れば」


「こいつ殴る価値もねーわ」


「痛っ!」


保健室で大西先生が莉緒の手当てをする。


「ごめんね、痛かった?それより、何があったの」


「別に…先生には関係ない」


「そっか、ごめんね、じゃあ、先生の話聞いてくれる?」


「うん」とこくりと頷く莉緒。


「先生、ね。振られちゃったんだあ。堀城先生に」


「うん」


「それでね、おめでとうもごめんなさいも言えなくて」


「大西先生、なんで泣かないの」


苦しい恋心に一滴も涙を流さない大西先生が恋をしているんだと思った。

先生も1人の恋愛をしてるんだって、悩んでいるんだって。


「……優しいね、先生の心配してくれるなんて」


「私でよければ相談乗るよ、もう後悔したくないんだ」


「じゃあ、先生の話聞いてくれる?」


「うん!」

あたし加瀬愛子、高校の時は大西が好きだった。

女の子が好きって変かな。


「やだなあ、堀城、あたし言ったじゃん。高校生時代好きな奴がいるって」


「うん、知ってる」


「じゃあ、もう辞めにしよう、この関係」


と堀城の真剣な眼差しが私を魅了する。


「堀城、キスして」


別に好きじゃない男からのキス、少しだけ胸が高まった。

そのキスはパピコの味がして、少し甘いチョコレートの味がしたんだ。


本当は少しだけ好きだった。


「堀城ー!今日はあちぃいな!」


「何がだよ茶化すなバカ」


「じゃーな、堀城のばーか!また明日な、加瀬さん!ばいばあい」


「あれ?大西さんじゃね」


「本当だ」


私は大声で出す、大西って名前を。


好きだから脳裏に浮かぶんだ、「大っ嫌い」って言葉。

「大西先生ー!」


保健室の先生だった私、大西涼子。

本当はずっと好きだった、高校生の時から堀城の事が。


だけど、この間、結婚指輪を付けているのを見た時、泣いたんだ。


私、喪女オンナ決定。

ずっと一途でいたらダメみたい、って今更知ってもさ。

結婚できないって分かったら人生どうでも良くなった。


だからえっちするの、忘れたいから。


「パピコ、好きだったなあ」


でも今はほろ苦いかも。

なんあんて馬鹿な女の話でした。

夏祭り、好きな奴を見た。

俺の弟。彼女と一緒に歩いてんの、可愛くて。


「何か奢ろうか」っていつものように誘う。


「うん」って女ってちょろい。と思ったら、こいつ弟のこと好きじゃないじゃん。

色々とさ真琴のこと聞いて来るから、「死んじまえ」って言ったんだよな。


だけど、視線が真琴のことを見つめて来ると、健の気持ちが理解できて胸が痛かった。

ああ、あいつ失恋したんだな。利用されても良いって思ってて女々しい奴。


だから嫌いなんだよ女。


それなのに柳花火を見る俺と彼女。

ドンと大きな花火が鳴った時、彼女からキスをした。


その彼女が可愛くて、やっぱり男が好きだと思った。

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