盾って手が塞がるだけですよね
つばめいろ
左手と盾
銃弾が空中を飛び交う。
そう、ここは戦場だ。私は先輩とペアを組んで、この戦場を駆け抜けている。防具は防弾チョッキとヘルメットと左手用盾、武器はAK‐47、リボルバーの二つ。私の国の標準装備だ。だから、私の部隊も、先輩も同じ装備を身に着けている。いつも手が空いていることはない。戦場に来てから、先輩の手のひらのぬくもりを感じたことはない。
戦況はどんどん過激になっていく。土壁から撃っているだけじゃだめだ。隊長から、突撃の指令が出る。私たちの部隊は、二人組のまま土壁から出て敵軍に突っ込んでいく。私たちも突撃に行く。敵からの銃弾を、軽く盾で受けながら進む。銃弾が多すぎて盾が耐えられそうにない。
「ドサッ」
隣から倒れた音がする。先輩が撃たれたんだ。私は駆け寄る。先輩の手が空に伸ばされる。私は、今にも壊れてしまいそうな盾を投げ捨て、先輩の手を掴む。手袋越しだが、先輩の体温を感じる。銃弾はまだ飛んでいる。それを背中で受けながら、最後のぬくもりを抱きしめる。
盾って手が塞がるだけですよね つばめいろ @shitizi-ensei
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