体育大会の思い出
体育大会の時、僕は男女混合リレーに出ることになった。
僕の学校には、各学年でクラスが10クラスずつあり、体育大会ではクラス対抗で競う仕組みになっていた。
中学校までは運動部に所属していたとはいえ、ほぼ幽霊部員の状態だった僕は、全員参加の種目以外は参加するつもりはなかった。
ところが、クラスの中で僕と同じようなことを考える人が多くて、くじ引きで出場種目を選ばされることになった。
そのくじ引きの結果、僕は男女混合リレーへの強制出場が決まってしまった。
体育大会の当日、競技が進み男女混合リレーの番となる。
出走する時になって気づいたのだが、僕と一緒に走る他のクラスの選手はほとんどが女子だった。
出走順の設定がおかしかったのか、出走順番を決めたクラスの参謀たちの戦略なのかはわからない。
ただ、女子相手にもし負けたらかなり恥ずかしいとことになってしまう。
できればクラスの順位が後ろの方でバトンを受けさせてほしいと思っていた。
その願いが通じたのか、僕にバトンが渡った時の順位は、全体で後ろから2番目か3番目かという状態だった。
バトンを受け取り、順位を下げないようにと頑張って走ると、相手が女子だったおかげで、僕が走っている間に、順位を3つほど上げることができた。
高校生ともなれば、男女の体格差もある程度出てくるので、いくら運動が苦手な僕だとしても、女子が相手なら結果としては普通なのかもしれない。
最終的な男女混合リレーの結果としては、僕のクラスは真ん中ぐらいの順位で終了となった。
走り終えた後、部活の後輩女子たちがわざわざ僕のところに来て、僕の走りを褒めてくれた。
その中に彼女もいて、格好良かったと言ってくれたことは素直に嬉しかった。
その数日後の部活動の時に、彼女から一枚の写真を手渡された。
「これ、先輩の写真なので、先輩にも渡しておきますね」
そこには、男女混合リレーで、走っている僕の横からの姿が写っていた。
誰が撮影したものかは聞けなかったのだが、少し気恥ずかしかったので、ひとことありがとうだけ伝えて、写真を受け取った。
ただ、「先輩にも」という言葉から、僕以外の誰かも、この写真を持っているというようにも受け取れた。
言葉のあやだったのか、それとも、実際に誰か持っている人がいたのか・・・
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