第3話 朔風払葉【きたかぜこのはをはらう】

降谷小雪様


拝啓

 日ごとに寒さが身にしみる頃となってきましたが、降谷先輩におかれましては、お風邪など召されていませんか。


 さて、先日は、個人的な内容であったにもかかわらず、お返事をいただき、ありがとうございました。


 自分の書く小説に自信が持てないというのは、一概に悪いことばかりではないということがわかりました。

 しかし、どうしても、同年代で結果を出している人たちを見ていると、結果が出せない自分が惨めに思えてきてしょうがないのです。仲が良い友達でも、妬ましく思えてくるときがあります。そんな自分が惨めで、みっともなくて、嫌いです。自己嫌悪に押しつぶされそうです。

 いっそのこと、筆を折ってしまおうか、とすら思います。けれど、どうしてもそれができずにいます。

 どっちつかずのままゆらゆらと揺れている惨めな私を、どうか笑ってください。


 さて、駄文を失礼いたしました。

 体調を崩しやすい季節になっていきます。どうかお身体をお大事にしてください。

                             敬具


  202×月11月28日

                           雨野千晴

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