第2話 虹蔵不見【にじかくれてみえず】

雨野千晴様


拝啓

 すっかりご無沙汰しているうちに、ひときわ冷え込むようになりました。ご多忙のことと存じますが、体調など崩されておりませんか。


 さて、雨野さんは、自分の書く小説に自信が持てなくなった、と書いていましたね。最近、私は大学のレポートを書くのに精いっぱいで、小説が書けなくなっています。なので、雨野さん自身は自分の作品に自信が持てずに苦しい思いをしていると思いますが、そのように自分の作品を書くことができる雨野さんを、私は羨ましく感じます。


 私が感じたことを綴らせていただきますと、自信を持つことばかりが素晴らしいのではないように感じます。もちろん、自信を持つことによって良い作品を生み出すことができる人もいます。しかし、【自信】は一歩誤れば【驕り】へとつながります。驕りによって、文才を磨くことを怠れば、それは自らの作家としての才能を殺すことになりはしないか、とも思うのです。

 どうか、自信を持つことだけにとらわれず、驕らず、作家としての才能を磨いていってください。


 これからどんどん寒くなっていきます。体調を崩されないよう、どうかご自愛ください。

 末筆ながらますますのご活躍をお祈り申し上げます。

                             敬具


  202×年11月23日

                           降谷小雪

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