第3話 毒舌


スピード婚で二人は結婚を決めて、結婚式の招待状を俺に送ってきた。


何処までして俺にマウントをとりたいのかもう籍は入れたそうだ。


昼休み、余りに絡んでくるので、屋上に邦明を呼び出し話をする事にした。


「なぁ、邦明、お前は俺が嫌いだったのか?」


邦明の顔が歪んだ。


「今頃、気がついたのか? 俺はお前が嫌いだったんだよ! 対して良い顔じゃないのにいつも仲間の中心にいて、上司も仲間も皆、お前を評価する。しかも陽子みたいな綺麗な幼馴染まで居て、本当にムカついていたんだ……なぁどんな気持ちだ? 陽子を寝取られてどんな感じだ?」


そうか、世の中解らないな。


こいつの家はそこそこ金持ちだし、何よりイケメンで大学時代も女にモテモテ。


勿論、この会社でも女に人気がある。


まぁ、俺から陽子を奪わなければそのまま人気者で恋人も選び放題だった筈だ、


尤もその人気も俺への仕打ちで台無しだけどな。


そんな此奴が俺に嫉妬していただと。


「そうか……そんなに俺が嫌いだったのか」


世の中解らない物だ。


「ああっ、陽子を寝取られて悔しいだろう? そんな顔が俺は見たかったんだ」


「そうか、寝取ったと言う事はもうやったんだな」


「まぁな」


「悔しいよ」


もういいや……言い返そう。


負け犬の遠吠えだけど、全部吐き出して終わりにしよう。


俺は負けたんだ。


「はははっ、俺の……」


「あいつから処女を貰ってから11年だ、やりたい盛りだった時期もあって一時期は毎日のようにSEXしまくった。沢山、パイズリもして貰ったし、フェラも数えきれないほどして貰った。 お互いの体で触れてない所はないよ。 手じゃなくて舌でな。 後ろから入れた時に獣のようになる姿も、騎乗位で腰を振る姿ももう見られない……悲しいよ」


「お前……」


「ゴムもつけないで生で8連ちゃん、アナルセックスも、俺にはもう出来ない、お前の物だからな」


「おい……」


「あそこ迄体の相性が良い女なんてもう出会えないかもしれない……悲しくないわけ無いだろう」


「……」


「俺と陽子のつきあいはながいんだ、14歳から11年だからな。ファーストキスから初めてまで全部俺の物だった。 逆に俺の初めては全部彼奴の物だった。 彼奴が16歳の時に妊娠させた時には親父にぶん殴れたよ。 若かったけど、そのまま産んで貰う事も考えた。 陽子の親にも俺の親にも反対され結局中絶したんだ。 二人して水子供養した時は一日中抱き合って泣いたよ 爛れているそう言うかも知れないけどある時から『純也くんが責任とるんだから、もう二人で好きにしていいわ、但し妊娠だけは気をつけてね』そう両家族から言われる関係だったんだ。 お互いの家族に堂々とラブホに行く話をして呆れられる関係だった。でも、それももう終わりなんだ。そう思うと切なくて仕方が無い……まるで半身を失ったみたいだ。俺のこんな惨めな姿を見て満足か? よかったな、俺が愛した女を寝取れてよ……」


なんだ、此奴。


人の女を寝取った癖に。


なんで崩れ落ちて床を叩いているんだ。


しかも泣いているし。


俺に勝って、そんなに嬉しいのか。


「俺も陽子もゴムが嫌いで生派だったんだ。だからいつも中出しして問題ないようにピルを処方して貰っていたんだ。 最近稼げるようになって来たし、そろそろ結婚を意識して赤ちゃんを作ろうかという話しになってなピルの処方を辞めたんだ。それなのにお前に取られてしまった……」


「うっうっうえあぁぁぁぁぁーーー」


人の話を最後まで効かないで、泣き叫びながら邦明は去っていって。


泣きたいのは俺なのに……ふざけるなよ。

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