試験とは?

麻田 雄

第1話


 深夜3時。


 僕は机に着き真剣に考えていた。


 『試験』とは何なのか?


 調べてみると――


 物や物質の力などをためすこと、または検査すること。「弾性―」。特に、人の知識・能力を調べる為に、問題を出して答えさせること。「入学―」


 ――とある。


 まぁ、その見解は間違っていない。

 おそらく、それが一般的な認識だろう。


 だが、そこに”順位”を付けるのは如何なものだろうか?


 目的が知識や能力を試す為のものならば、序列をつけるのは筋違いな気がしてならない。


 そもそもだ、学問の世界で高名な、未だ現役で輝き続けている元一万円札の人は「点は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず~」とか言っていた筈だ。

 正直、その意味はよく分からないが、なんかこう、ニュアンス的には『みんな違って、みんないい』的なアレなんじゃないのかと解釈している。(ホムンクルスやキメラの話だったらどうしよう……)。


 要するにだ、点数などという窮屈な縛りでなく『この人はこういう事を考えるんだ』という事を評価していただきたい。

 そこに点数などという序列は無粋だ!


 『海豚=うみぶた』(なんだか知らないけど)だって、『~フラスコの中ではどのような変化が起きるか?=なんかこう圧力パンパン?』(そんな雰囲気だし)だっていいじゃ無いか!

 将来の夢っていう欄に『たこやき』って書いたって良いじゃ無いか!(本当は”たこやき屋さん”だったが……)


 そういう自由な発想こそが、この先の未来を明るく創造していく可能性なんじゃないだろうか!?


 ふと、心の中に光が差した気がした。

 ずっと、仄暗い海の底で息苦しさと、時間の残されていない焦燥感、光の見えない不安感を抱え続けていたのに……。



 僕は教科書を閉じ、布団の中に入った。


 明日は期末試験。


 今更、何をしたところで手遅れだ。

 何となく勉強している感を出す為にかけていたラジオから流れていたのは……


 テールライトとかヘッドライトを連呼していたな……。





 ――少し夢見心地になってきたころ……


 ちょっと何言ってるか分からない、ギャーギャーうるさい曲が流れ始めた。



 思わず目が覚めてしまい、思い付いた。


 『うん、調整失敗だ。明日はどうにか休んで、次はちゃんと勉強して追試で頑張ろう』と。

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