悪役貴族に転生した僕は緩くハーレムを生活を送りたい~ゲーム本編には関わらず、女奴隷を囲って悠々自適に暮らしたいのに周りが僕を英雄扱いしてくるのだが~
リヒト
転生
「うーむ、まさか僕が転生することになるとは」
自分の前に置かれている全身鏡。
それを眺める僕は己の胸に抱く率直な感想を吐露する。
僕の前にある全身鏡に映る人物。
それは金色と赤色のオッドアイが特徴的なまだ幼い一人の少年だった。少し長い白い髪の内側にあるその相貌は非常に整っており、神が丹精を込めて作りました、と言われても納得できる出来だ。
「こんなのが僕であるわけもないな」
こんな美少年、僕知らない。
もっと僕は冴えない見た目をしていたはずだ。
「冴えない陰キャだったんだけどね、僕は。まさか……こんな美少年に転生するとは」
そんな自認になるのも当然。
僕はついこの前まで、日本で冴えない陰キャ高校生をやっていたはずなのだから。
いつも通りオタク友達とワイワイなんてことはない高校生活を送り、学校から家への帰路についていた───そして、僕はその帰り道の途中でトラックに轢かれて死んだはずなのだ。
「……っぅ」
ちゃんとトラックに跳ねられたときの記憶も、それによる恐怖も覚えている。
それを間違えているはずがない。
それで視点が暗転してすぐ、僕はこの全身鏡の前に立っていた。そして、その鏡に映るのは自分の知らない美少年───ん?
「……あー、うん。うん。あぁ……おーん?」
僕は全身鏡を前にしながら、自分が死んだときのことを……前世のことを考えていた。
そんな中で、突如として自分の頭の中から知らない少年が生きてきた、それまでの記憶が徐々に湧きあがってくる。
「……異世界、転生」
自分の知らない記憶。
それらを整理する中で、僕は今の状況を言い当てる……というか、オタクの癖にそんな
えっ?マジ?僕ってば、トラックに轢かれて転生するとかいうもはや今じゃきょーび聞かないようなベタベタのテンプレ展開で転生したの?
嘘でしょ?
僕は自分が転生したという事実にまずは愕然とし、驚愕を胸に抱く。
そして、更に気づく。
「つか、こいつあいつだ」
今、全身鏡に映っている少年が誰なのか。それも合わせて。
白髪で金と赤のオッドアイを持った少年で、そして、僕の中から湧き上がってくる存在しない記憶。
これらを合わせれば、全身鏡に映る少年が誰なのかもわかってしまう。
「悪役貴族のロイド・ラインハルトじゃねぇか」
令和の世に出てきたとは思えないコテコテのテンプレストーリーが売りのゲーム『剣魔のアルカナ』に出てくる悪役貴族、ロイド・ラインハルト。
突出しすぎた神童として生まれたが為に驕り、傲慢となって数々の犯罪行為にまで手を染めるようになった結果として、最終的に主人公の手で処刑される男ではないか。
「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!?」
それに思い立った瞬間。
僕は叫ぶ。
「うそでしょぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
でも、それだって仕方ないって思って欲しい。
「よりにもよってこいつかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
今更目新しくも何もないコテコテのテンプレストーリーを売りにしながら、それでもなお、人気が出るほどにキャラの造詣が丁寧で何人も魅力的なキャラが出てくる『剣魔のアルカナ』の中でよりにもよって、最低最悪のキャラとして作られたロイド・ラインハルト。
そいつに転生してしまったのだから。
これくらい動揺するのは仕方ないと思う。
「僕ってば、……あれやん!?」
死ぬやん!?作中でこいつは処刑されるんだがっ!?
いや、そうじゃん!魅力的なキャラの中で、最低最悪という触れ込みのキャラに転生しただけでも、最悪なのに、こいつはその上に殺されるやん。
「また、死ぬの!?」
トラックに轢かれた時の苦痛。
死ぬときの苦痛。
あえて、そこまで考えないようにしていたそれらを再度、叩きつけられるような形で思い出してしまった僕は体を震わせる。
恐怖だ。
純粋な、死ぬことへの。
動揺と恐怖。
それによって僕が叫び散らかしていた中で。
「どうしましたか!?お坊ちゃま!」
いきなり自分がいた部屋の扉が開かれ、その扉から一人の年老いた燕尾服を身に纏った爺さんが姿を見せる。
そして、その老爺は僕に向かって、心配の言葉をかけてくる。
「な、何でもない!?爺や!」
その一人の老爺。
存在しないはずなのに、今の僕の中に確かにある記憶の中にいた老爺のことを思う僕はその姿を見た瞬間、ほぼ反射的に心配かけまいと声を荒らげた。
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