春
お金に余裕がないから卒業後は実家で生活することにした。
自分の趣味を歴史的価値があると過大評価しアルバイトも約束してなんとか親には了承を得た。
もうすぐ卒業だ。
引越しの準備もできた。
趣味も続けられる。
けれど、心は落ち着かない。
せっかくの発見をまとめても、もう誰にも共有できない。
自分のためだけにこの趣味を続けられるのだろうか。
インターネットはいずれ復旧する。
そう楽観的になるしかなかった。
4月になり実家での生活が始まった。
大学の友人と会うことがなくなり、いよいよ心に余裕がなくなった。
趣味で繋がったネットの人たちと話がしたい。
その衝動はマグマのように溢れ出し、止まることがない。
とはいえ、連絡する手がかりは何一つなかった。
電話番号でも聞いておけば良かったのだろうか。
いや、当時では考えられない。
突然電話番号なんて聞いたら即座にブロックされただろう。
みんながアップしていた内容はなんとなく覚えていた。
誰がどの辺りをよく散策しているかも、ある程度は記憶していた。
行ってみるか。
そう思った。
もちろん、散策している地域に足を運んでも会えるわけはない。
SNSで使っていたユーザー名と電話番号をカードに書いて、色々なところに置いて周ることを思いついた。
彼らの散策エリアに足を運んでみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます