第2話 勉強会をしよう
俺と長篠さんが配偶者となり付き合い始めて一週間が過ぎ、お互いに少しずつ親睦が深まり長篠さんは二人でいる時は素でいること増えた。もちろん俺も素で接することが増えた。その中で俺は日に日に長篠さんには可愛いところが思った以上にあることを知った。
また、学校では夏休み前最後のイベントである学期末試験の時期となった。
知り合いの中では配偶者と共に勉強をする者、お互い別々ではあるものの休憩中によく話すなどといった者ががちらほらとで始めている。
ちなみに俺は今日長篠さんと二人で勉強会をすることになっている。
提案者は俺。互いの苦手分野を補うことを目的にしたら長篠さんは「すごい楽しそう」と言って笑っていた。
「竹内くん」
「あ、長篠さん!」
リュックに荷物を詰め込んでいると、長篠さんが背中をぽんぽんと優しく叩いて俺の名前を呼ぶ。
振り返るとそこには横髪をヘアピンで留めるスタイルの長篠さんが立っていた。
これはまた可愛い。いつもの髪型ですら格好良くそして可愛いというのにこれはまさに可愛いの集中砲火である。
「お〜い、竹内くん?」
「あ、はい!」
「あ、よかった戻ってきた。竹内くん今自分の世界でしたね」
「……見たいですね。長篠さん、とりあえず自習室行きますか」
「そうだね。じゃあ行こっか」
そうして俺と長篠さんは教室を出て、一つ上の階にある自習室へと向かった。
自習室のドアを開けると、身体に涼しい風が触れた。室内をよく見ると、俺達の他にも何人か勉強会をしている人がいた。
空いている席に向かい合って座り、互いの共通苦手分野である社会を進めることにした。
互いに手を動かしてどうにか少しずつ進めたものの、先に根を上げたのは長篠さんの方だった。
「竹内くん…。この郡県制と郡国制の問題、郡国制は何となく理解できるんだけど郡県制はなんかややこしくなってきた」
長篠さんが質問してきた部分の問題を見ると、運よく俺が解けていたところだったので俺なりに教えるのを頑張ってみた。
「ちょっと見せて、……あ〜これね。えっとね郡県制は国を郡と県に分けてそこに簡単に言えば皇帝の命令通りに働く役人を派遣して、人々はその役人の指示に従うから全体的に見たら皆皇帝の命令に従ってるよ〜、みたいな感じ」
「……すごい、なんか絡まってた糸が綺麗になったみたいな感じする。ありがとう」
「いやいや、俺がたまたま理解できてたところを教えただけだからこれは長篠さんの力だよ」
「竹内が教えてくれたから分かったの」
そう言うと長篠さんはむっ、唇を尖らせる。
可愛い、クールな顔から出る可愛さの破壊力がえげつない。おっといけないいけない、集中だ集中。
そうして勉強会をしていくうちに、時間は六時を回っていた。
「長篠さん、どうする?もう六時回ったけどまだ続ける?」
「あ、もうそんな時間なんだ。そっか、じゃあそろそろ切り上げようか」
「じゃあそうしようか」
切り上げを決定し、俺達は荷物を片付けて自習室を後にし、昇降口まで降りていく。自習室とは打って変わって、むわりとした
校門を出たあたりで長篠さんは「竹内くん、明日って予定あったりしますか」と聞いてきた。
「明日って確か土曜っすよね…、特に何もなかったと思うけど」
「じゃあ明日、で、デートしませんか…!」
俺の中の火山が噴火した音がした、というか大噴火した。
で、デート?!デートってあのデート!?えホントにデート?!
「駄目、ですか?」
「駄目じゃないです!喜んで受けさせていただきます!」
「ふふ、じゃあ明日の十時に学校の最寄り駅の北口集合にしよう。約束」
「や、約束……」
勉強会終わりの夏の夜、彼女からデートのお誘いを受けました。
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