図書館で会える気になるあの子は僕の隣にいる。

越山明佳

第1話

近場の図書館で勉強するようになったのはいつからだろう。

出された宿題は絶対にやる僕。

高校受験の際、塾で今までやったことを復習するよう言われた。

宿題ではない。

ではないけど、律儀に従った。

結果、気づいたら勉強が習慣となり、高校入学してからも継続している。

その勉強場所のひとつが近場の図書館だった。

僕にとって図書館は勉強するところで、なおかつ気になるあの子に会える場所。

毎回、隣で一緒に勉強するうちに惹かれていき、今では――

「この前の試験、どうだった?」

「まぁまぁだったかな、君は?」

「私も、まぁまぁかな」

「それじゃ今日も始めようか」

「そうだね」

――会話をする仲になっていた。

なんてことない日常。

だけど僕はこの日常が好きだ。

隣に彼女がいる。それだけで世界に彩りを与えてくれた。

図書館に行けば彼女に会える。



今日も来るかな?

名前も知らない彼。

待っている自分がいる。

図書館で隣同士、気づいたら会うのを楽しみにしている。

気づかれないよう、こっそりと私の水筒で場所取りしているのは彼には内緒だ。

覗き見して、受験校を一緒にしたのも同じく内緒。

――来た。

音を立てないよう、こっそり水筒を片付ける。

席に座る彼を見て、ほっと一息。

私に安らぎを与えてくれる。

なんでもない、こんな日常が私の人生に彩りを与えてくれる。

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図書館で会える気になるあの子は僕の隣にいる。 越山明佳 @koshiyama

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