図書館で会える気になるあの子は僕の隣にいる。
越山明佳
第1話
近場の図書館で勉強するようになったのはいつからだろう。
出された宿題は絶対にやる僕。
高校受験の際、塾で今までやったことを復習するよう言われた。
宿題ではない。
ではないけど、律儀に従った。
結果、気づいたら勉強が習慣となり、高校入学してからも継続している。
その勉強場所のひとつが近場の図書館だった。
僕にとって図書館は勉強するところで、なおかつ気になるあの子に会える場所。
毎回、隣で一緒に勉強するうちに惹かれていき、今では――
「この前の試験、どうだった?」
「まぁまぁだったかな、君は?」
「私も、まぁまぁかな」
「それじゃ今日も始めようか」
「そうだね」
――会話をする仲になっていた。
なんてことない日常。
だけど僕はこの日常が好きだ。
隣に彼女がいる。それだけで世界に彩りを与えてくれた。
図書館に行けば彼女に会える。
◇
今日も来るかな?
名前も知らない彼。
待っている自分がいる。
図書館で隣同士、気づいたら会うのを楽しみにしている。
気づかれないよう、こっそりと私の水筒で場所取りしているのは彼には内緒だ。
覗き見して、受験校を一緒にしたのも同じく内緒。
――来た。
音を立てないよう、こっそり水筒を片付ける。
席に座る彼を見て、ほっと一息。
私に安らぎを与えてくれる。
なんでもない、こんな日常が私の人生に彩りを与えてくれる。
図書館で会える気になるあの子は僕の隣にいる。 越山明佳 @koshiyama
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