課題2 財宝を共有せよ
「課題1は終了した。」
無機質な声が響き、ホログラムスクリーンが消灯する。
参加者たちは静まり返り、互いを伺うように視線を交わした。課題が成功した安堵感と、裏切り者の存在に対する疑念が入り混じった空気が漂う。
「次の課題の準備が整った。」
再びホログラムスクリーンが点灯し、新たな課題が表示される。
「課題2: 財宝を共有せよ」
「この課題では、プレイヤー全員が財宝を分け合う必要がある。ただし、以下のルールが適用される。」
課題2のルール
財宝の総数
画面に表示された「財宝」は、11個の金色のコインとして現れる。
コインの配分
全員でコインを分け合い、各プレイヤーが最低1枚は確保する必要がある。
誰かが1枚も受け取れなかった場合、課題は失敗となる。
裏切り者の役割
裏切り者の目的は、課題の失敗を誘導すること。
配分に不満を持ったプレイヤーが「拒否」を選ぶと、その時点で課題は失敗となる。
選択肢とペナルティ
成功: 課題をクリアし、全員に記憶の断片が返還される。
失敗: 全員が記憶を1つ失う。裏切り者は報酬として記憶を1つ回収する。
「この課題では、全員が誠実に交渉する必要がある。だが、誰が裏切り者かを見抜くことなく進行すれば、課題は失敗に終わるだろう。」
「制限時間は30分だ。」
財宝の分配議論開始
1. アキラの提案(平等分配)
「全員が1枚ずつ受け取る。これが最も簡単な方法だ。」
アキラ(1)は即座に言った。「残りの1枚は、次の課題に持ち越す形で共有すればいい。」
「ふむ、まあ合理的だな。」
ユウスケ(4)が頷く。「全員が1枚ずつなら、不満が出る余地も少ない。」
「でも、それで裏切り者が得する可能性はない?」
アイリ(8)が冷静に指摘した。「裏切り者がその提案に乗って、後から何かを仕掛けるかもしれない。」
2. ケンタの揺さぶり
「ちょっと待てよ。」
ケンタ(10)が笑みを浮かべながら言った。「なんで平等分配なんだ? 財宝は努力したやつが多くもらうべきだろ?」
「努力?」
カズキ(5)が低い声で言う。「この場で“努力”をどう定義する?」
「簡単だよ。」
ケンタは肩をすくめる。「これまでの課題で発言して、協力したやつに多めに渡す。それがフェアだ。」
「その理屈だと、お前が多く取ろうとするだろうな。」
レンジ(9)が冷静に返す。「つまり、お前の提案自体が公平性を欠いている。」
「フェアなんて言葉は幻想だろ?」
ケンタは皮肉っぽく笑った。「結局、得するやつが一番賢いんだよ。」
3. サクラの無邪気な発言
「私は1枚でいいよー。」
サクラ(2)が無邪気に言った。「だって、それでみんなが仲良くなれるなら、その方が楽しいもん。」
「…その発言、本当に無邪気か?」
ユウスケが険しい目でサクラを見つめる。「お前が裏切り者じゃないという保証はどこにある?」
「ええっ、そんな目で見ないでよ!」
サクラは笑顔を浮かべながら手を振った。「私、裏切りなんて怖くてできないよ!」
4. ハルキの沈黙
議論が白熱する中、ハルキ(6)は終始無言を貫いていた。
「おい、何か言ったらどうだ?」
ユウスケが問いかける。「黙ってる方がよっぽど怪しいぞ。」
「俺は、配分について特に意見はない。」
ハルキは静かに言った。「どんな配分であろうと、それに従うだけだ。」
「従順すぎるだろ。」
レンジが鋭く言う。「それが裏切り者の態度かもしれない。」
議論の緊張と揺さぶり
アヤコ(11)の提案: 「アキラの平等分配案に従うべきよ。これ以上の混乱を避けるために。」
カズキの警戒心: 「全員が平等に分けることで、裏切り者が目立たなくなる。かえって危険だ。」
サクラの妙な笑顔: 「でも、どんな配分でも良くない? 誰も損しなければ。」
全員の意見が交錯し、不信感が募る。
決断の瞬間
議論が煮詰まる中、無機質な声が告げる。
「残り時間、10分。」
「俺たちには時間がない。」
アキラが声を上げる。「ここで平等分配案を採用するか、それとも別の方法を選ぶか、結論を出すべきだ。」
「でも、裏切り者が動いてたら?」
ケンタが疑い深そうに言った。「そいつが“平等分配”を利用して、失敗に持ち込もうとしてたらどうする?」
「それでもやるしかない。」
アキラはきっぱりと言った。「今はこれが最善の策だ。」
結果発表へのカウントダウン
プレイヤーたちは、それぞれの提案に基づいて最終決断を下す準備を始めた。
ホログラムスクリーンには、全員の選択が記録される。
「最終的な配分を入力せよ。」
次の瞬間、全員の手元に小さなデバイスが配られる──それは、配分案への「承認」または「拒否」を選ぶためのものだった。
「全員が承認した場合のみ、課題は成功と見なされる。」
部屋に漂う張り詰めた沈黙の中で、全員がボタンに指を置いた。
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