財宝を協力せよ
「最終的な配分を入力せよ。」
無機質な声が響き、緊張感に包まれる中、参加者たちは一人ずつ手元のデバイスに「承認」または「拒否」を選択していく。
一人でも「拒否」を選べば課題は失敗──誰もがそれを理解していた。裏切り者が動くかもしれない、という恐怖が部屋全体に広がっていた。
課題の結果発表
ホログラムスクリーンが点灯し、参加者たちの選択結果が一斉に表示される。
アキラ(1): 承認
ミカ(3): 承認
サクラ(2): 承認
ケンタ(10): 承認
レンジ(9): 承認
カズキ(5): 承認
アヤコ(11): 承認
ユウスケ(4): 承認
ハルキ(6): 承認
アイリ(8): 承認
ショウ(7): 承認
「課題結果: 成功」
一瞬の安堵
「成功した…。」
ユウスケ(4)は信じられないという表情で呟いた。
「全員が承認を選んだのか?」
アキラ(1)はホログラムを凝視しながら言った。「裏切り者がいたはずなのに、どうして…?」
「裏切り者が動かなかっただけでしょ。」
アイリ(8)は肩をすくめ、冷静に答えた。「今回も動く必要がなかった。」
「いや、それはおかしい。」
カズキ(5)が低い声で呟いた。「裏切り者が失敗を誘導しない理由があるのか?」
「もしかして、誰も裏切り者なんていないんじゃない?」
サクラ(2)が無邪気な笑顔を浮かべた。「主催者が嘘をついてるだけだったりして!」
「そんな単純な話じゃない。」
レンジ(9)が冷静に返す。「裏切り者は確実に存在している。ただ、その動機やタイミングが分からないだけだ。」
「裏切り者が動くとしたら、次が本番だろう。」
ショウ(7)が低く呟いた。彼の言葉にはどこか冷静さが宿っていたが、全員がその真意を図りかねていた。
記憶の返還
「課題2は成功した。」
無機質な声が続けて響く。「全員に記憶の断片が返還される。」
ホログラムスクリーンに再び光が灯り、記憶返還の演出が始まる。各参加者の頭の中に過去の断片が蘇っていく──
記憶返還の詳細
アキラ(1): 「犠牲にした人物が発した最後の言葉」
ミカ(3): 「自分が関与した暗殺の詳細」
サクラ(2): 「特別な力を使った後の異様な感覚」
ケンタ(10): 「裏社会で取引した最も大きな“商品”の記憶」
レンジ(9): 「命を奪った相手の最後の言葉」
カズキ(5): 「任務中に殺した子供の顔」
アヤコ(11): 「自分の子供が亡くなった日の詳細」
ユウスケ(4): 「見殺しにした仲間が最後に叫んだ言葉」
ハルキ(6): 「救おうとした人間に裏切られた瞬間」
アイリ(8): 「自分が騙した人が最後に取った行動」
ショウ(7): 「暴力団の一員として手を下した最初の犠牲者」
記憶返還後の混乱
1. サクラの奇妙な反応
「…ああ、そうだ。」
サクラ(2)が目を見開き、何かを思い出したように呟く。「私、本当に“特別な力”を持ってるんだ。」
「具体的にはどういう力だ?」
レンジ(9)が冷静に尋ねる。
「それは秘密!」
サクラは明るく笑った。「でも、これで確信したよ。私、みんなをもっと助けられる!」
「助ける?」
ユウスケ(4)が疑念の目を向ける。「お前が何を考えているのか、全く読めない。」
2. アキラの苦悩
「…彼女の名前は“ナナ”だった。」
アキラ(1)は頭を抱えるようにして呟いた。「俺が救おうとした少女…だが、犠牲にした命の重さが薄れるわけじゃない。」
「その記憶が本当に正しいか、どうやって確かめる?」
カズキ(5)が低い声で言う。「お前の記憶も操作されている可能性がある。」
「…それでも、俺はこの記憶に向き合うしかない。」
3. ケンタの動揺
「くそっ…何でこんな記憶を返してきやがる。」
ケンタ(10)は苛立ちを隠せない様子で呟いた。「これは忘れた方が楽だったのに。」
「そんなに嫌なら、記憶を消してもらえば?」
アイリ(8)が皮肉を込めて言う。「次の課題でね。」
4. ショウの沈黙と決意
ショウ(7)は誰とも言葉を交わさず、静かに壁にもたれていた。
「…俺が守ろうとしたものは、何だったんだ?」
彼は握りしめた拳を見つめ、低く呟く。その目には、過去と向き合う覚悟が宿っていた。
『モニタリングルーム』
巨大なスクリーンには、課題2を終えた後の参加者たちの様子が映し出されている。
「ショウの動きが興味深い。」
「アキラとレンジも気になるな。記憶が繋がり始めている。」
「ケンタは予想通りだな。動揺して次の課題で何かを仕掛けるだろう。」
主催者は冷笑を浮かべた。「課題2は序章に過ぎない。次こそ本番だ。」
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