課題1 協力と裏切り

「これより第二ゲーム『協力と裏切り』を開始する。」

無機質な声が再び響き、部屋の中央に新たな装置が現れる。これまで告白と質問を繰り広げてきた円卓がスライドし、代わりに大きなホログラムスクリーンが浮かび上がった。


スクリーンには大きく「課題1」と書かれた文字が表示され、その下には不気味な文言が続いていた。


「この課題は全員の協力が必要だ。ただし、裏切り者がいる。」


ゲームのルール説明

無機質な声が続ける。


課題の成功条件


チーム全員が協力して課題を解決すること。

課題の内容は、プレイヤー間で情報を共有し、正解を導く仕組みになっている。

裏切り者の目的


課題の進行を妨害し、チーム全体を失敗に導くこと。

裏切り者が正体を隠し通せば課題は失敗となり、裏切り者のみが報酬を得る。

プレイヤーの勝利条件


裏切り者を見抜き、課題を成功させること。

課題が成功すれば、全員に記憶の断片が返還される。

ペナルティ


課題失敗の場合、全員が記憶を一つ失う。

裏切り者が暴露された場合、裏切り者は記憶を2つ失う。

「裏切り者はこれから選出される。選ばれた者には、特別なメッセージが通知される。」



「裏切り者…か。」

ユウスケ(4)は険しい表情を浮かべた。「協力しない者が一人でもいれば、課題は不可能になる。つまり、裏切り者はゲームの鍵を握る存在だな。」


「そういうことね。」

アイリ(8)が冷静に言葉を返す。「でも、このゲームでは表情や言葉が全ての武器になる。誰が裏切り者かを見抜けない限り、全員が振り回されるだけ。」


「要は疑心暗鬼ってやつだ。」

カズキ(5)が腕を組み、低い声で呟く。「お互いを疑いながら協力しろって話か。」


「でも、どうやって疑うの?」

サクラ(2)は無邪気な声で問いかける。「みんな、うそつきっぽく見えるけど!」


その言葉に、ケンタ(10)が苦笑を浮かべた。「おいおい、そんなこと言ったら全員怪しくなるだろ。」


「それが主催者の狙いよ。」

アキラ(1)が静かに呟く。「このゲームは、協力の中で信頼を崩すことを目的にしている。」



無機質な声が再び響く。


「これより、裏切り者を選出する。」


部屋が暗転し、ホログラムスクリーンに大きく「選出中」の文字が浮かび上がる。その間、参加者たちは息を潜めて静まり返る。


数秒後、明るくなった部屋に響く声──


「裏切り者にはメッセージが送信された。」


参加者たちは互いを探るように視線を交わすが、誰も表情を崩さない。


課題1の開始

スクリーンに課題内容が表示される。


課題1: チームで真実を選び取れ

画面には複数の文章が並ぶ。


「プレイヤー6は、過去に誰かを救った。」

「プレイヤー10は、かつて詐欺で多くの金を稼いだ。」

「プレイヤー2は、特別な力を持っている。」

「プレイヤー1は、誰かを犠牲にして生き延びた。」

「この中で、2つだけが真実だ。」


議論の開始

「なるほど。」

ハルキ(6)が冷静な口調で言う。「ここで全員の証言を元に、真実かどうかを決めろということか。」


「でも、裏切り者がいるんだよね?」

サクラ(2)は不安げな表情を浮かべる。「その人が嘘をついて、混乱させようとしたらどうするの?」


「そこがポイントだ。」

レンジ(9)は静かに口を開いた。「裏切り者の嘘を見抜くことが、課題成功の鍵になる。」


1. アキラの発言

「『プレイヤー1』については、俺が真実だと証言する。」

アキラが短く言った。「俺の記憶では、誰かを犠牲にして生き延びたのは確かだ。」


「…自分で言うってことは、信じるしかないのか?」

ユウスケが苦い顔で呟く。「それとも、ただ自分を守ろうとしているだけか。」


2. ケンタの自己弁護

「俺が詐欺で稼いでたって話は…まあ、真実だな。」

ケンタは肩をすくめた。「俺は隠すつもりもない。皆も知ってるだろ。」


「それが本当に正直な発言かどうかが問題ね。」

アイリは冷静に言葉を返す。「裏切り者は自分の罪を隠そうとはしないかもしれない。」


3. サクラの反応

「ねえねえ、『特別な力を持っている』ってどういうこと?」

サクラが明るい声で言う。「私、そんなの知らないよ!」


「それが本当なら、自分では自覚がないのかもしれない。」

アヤコ(11)が静かに呟く。「でも、特別な力…そんな曖昧な情報で真実を判断できるかしら。」


4. ハルキの態度

「俺が誰かを救ったかどうか?」

ハルキは薄く笑った。「そんな記憶はない。だが…俺が救える人間は少ないだろうな。」


「それが自分を疑わせないための言葉だとしたら?」

レンジが鋭い目で問いかける。


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