第十の告白者 ハルキ 6
「次の告白者を指名します。」
無機質な声が告げる中、モニターが再び光を放つ。数字が表示されると、全員がその人物を注視した。
“6”
ハルキ。
端に座るハルキ(6)は、冷静沈着な雰囲気を崩さないまま、ゆっくりと立ち上がった。その動きには余計な力が一切なく、静かだが確固とした意思を感じさせた。
「やっと俺の番か。」
短く言うと、ハルキは円卓を見回し、少しだけ口元を緩めた。
「いやいや、待ってましたよ。天才さんの大告白、期待してます!」
ケンタ(10)が軽口を叩いたが、ハルキはそれを無視した。
「期待するな。俺が話すことは、ただの事実にすぎない。」
「どうせ人を利用したとか、裏切ったとか、そんなところでしょ?」
カズキ(5)が冷たく言う。
「…似たようなものだ。」
ハルキは淡々とした声で答えた。「だが、話を聞いた後でそれが『ただ』かどうか、判断するのはお前たちだ。」
ハルキの告白
「俺は…多くの人間を欺いてきた。」
その言葉が響いた瞬間、部屋に静寂が訪れる。
「欺いてきた?」
ミカ(3)が慎重に問いかける。
「ああ。俺は詐欺師だった。」
ハルキは短く答えた。「金を騙し取るため、信頼を利用し、相手が崩壊するまで追い込む。それが俺のやり方だった。」
「詐欺師…か。」
ユウスケ(4)が眉をひそめる。「具体的にはどんな方法で?」
「相手が欲しがるものを演出する。投資話、保証された利益、架空のビジネス。それを信じ込ませ、金を引き出す。」
ハルキの声は冷たくも落ち着いていた。
「そんなに冷静に語れるなんて、よっぽど罪の意識がないんだね。」
アイリ(8)が静かに言った。
「罪の意識か。」
ハルキは短く笑った。「そんなものを感じるのは、騙される側だ。」
「最低だね!」
サクラ(2)が叫ぶように言った。「それで人を困らせて、何とも思わないの?」
「思わない。俺が勝ち、相手が負ける。それだけの話だ。」
質問タイム開始
「質問タイムを開始します。」
無機質な声が響くと、参加者たちが次々にハルキに質問を投げかけた。
質問 1: ユウスケ(4)
「詐欺の被害者の中に、自分の近しい人間はいなかったのか?」
「いなかった。」
ハルキは即答した。「俺は、自分にとって利用価値のない人間しか標的にしない。」
質問 2: ケンタ(10)
「どれぐらい稼いだんだ? その詐欺で。」
「億単位だ。」
ハルキは冷静に答えた。「だが、それは全て過去のことだ。」
質問 3: ミカ(3)
「騙された人たちがどんな目に遭ったか知っている?」
「知っているとも。借金地獄に陥った者、家族を失った者、自殺した者。」
ハルキの声は微かに硬くなった。「だが、それを気にする理由はない。」
質問 4: サクラ(2)
「ねえ、ハルキさん。もし私がその被害者だったら、どうする?」
「簡単だ。」
ハルキは冷たい目でサクラを見た。「お前も俺の敵として切り捨てる。それだけだ。」
判断タイム
「質問タイム終了。」
無機質な声が告げると、参加者たちはそれぞれの判断を固めた。
判断 1: ミカ(3)
「真実だと思う。」
ミカは小さく頷いた。「彼の話には作り物の要素がない。」
判断 2: ケンタ(10)
「俺も真実だな。」
ケンタは苦笑しながら言った。「詐欺師って感じの態度だもん。」
判断 3: サクラ(2)
「嘘だと思う!」
サクラは明るく言った。「だって、本当にそんなことする人、もっと怖い顔してるよ!」
判断 4: アイリ(8)
「真実だ。」
アイリは冷静に答えた。「その話には彼自身の冷酷さが滲んでいる。」
結果発表
モニターに浮かび上がる文字──
“真実”
記憶の報酬とペナルティ
正解者: ミカ、ケンタ、アイリ
ミカは「暗殺したターゲットが自分の知り合いだった記憶」を思い出し、動揺する。
ケンタは「自分が裏切った仲間の顔」を思い出し、笑顔を消す。
アイリは「不幸にした人が自分に感謝していた場面」を思い出し、困惑を浮かべる。
不正解者: サクラ
サクラは苦笑しながら「また忘れちゃった!」と言うが、その表情にはかすかな影があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます