第九の告白者 アヤコ 11
「次の告白者を指名します。」
無機質な声が再び響き、参加者たちが息を潜める。モニターに映し出された数字は──
“11”
アヤコ。
「私…なのね。」
アヤコ(11)は落ち着いた様子で椅子から立ち上がった。周囲を見回しながら、ため息をつく。
「あなたの番だね、お母さん。」
ケンタ(10)が軽口を叩いたが、アヤコは冷たい目でそれを受け流した。
「あなたたちの前で私の過去を語るなんて、本当に気が重いわ。」
「でも、それがルールよ。」
アイリ(8)が静かに促す。「隠し事をするつもりなら、ここで全てが崩れる。」
アヤコは小さく頷き、円卓を見渡した。
アヤコの告白
「私は…子供を失った。」
その言葉に、部屋中の空気が一変する。
「…子供?」
サクラ(2)が首を傾げる。「どうして?」
「事故だったわ。」
アヤコは静かに言葉を続けた。「私の不注意が原因で、幼い命を奪ってしまった。」
彼女の声には、重い感情が込められていた。
「事故って、どんな状況だったんだ?」
ユウスケ(4)が慎重に尋ねる。
「車を運転していたの。」
アヤコは短く答えた。「そのとき…私の注意が少しだけ逸れていたの。」
「それが事故の原因?」
カズキ(5)が冷たい声で問う。
「そうよ。でも、それだけじゃない。」
アヤコは苦しげに顔を歪めた。「その瞬間、私は救えたはずの命を、手放す選択をしてしまった。」
「手放した…?」
ミカ(3)が驚きの表情を浮かべる。「それはどういう意味?」
「説明はあとだ。」
レンジ(9)が冷静に言葉を遮る。「まずは彼女が話し終えるのを待とう。」
質問タイム開始
「質問タイムを開始します。」
無機質な声が告げると、参加者たちは次々に質問を投げかけた。
質問 1: ユウスケ(4)
「手放す選択というのは、具体的にどういうことだ? 意図的に見殺しにしたということか?」
アヤコは目を伏せて答えた。
「そう。あのとき、私は恐怖に囚われて動けなかった。結果として、子供は私の手の届かないところに行ってしまった。」
質問 2: サクラ(2)
「恐怖って、何に対して感じたの? 誰かに責められること?」
「…私自身よ。」
アヤコは冷静に答えた。「私は自分がその子を救う資格がないと思ってしまった。」
質問 3: ケンタ(10)
「その後どうしたんだ? 遺族に謝ったりは?」
「謝罪はしたわ。」
アヤコは苦々しげに答えた。「でも、どんな言葉を使っても償いきれないことは分かっていた。」
質問 4: アイリ(8)
「その子供に対して、最後にかけた言葉は?」
「……。」
アヤコは沈黙する。その目が揺らぎ、微かに唇を震わせながら言った。
「…言葉なんて、かけられなかった。」
判断タイム
「質問タイム終了。」
無機質な声が響くと、参加者たちはそれぞれの判断を固めた。
判断 1: ミカ(3)
「真実だと思う。」
ミカは小さく呟いた。「彼女の話には後悔がにじみ出ている。」
判断 2: カズキ(5)
「嘘だな。」
カズキは冷たく言い放つ。「子供を救う資格がないと考えるなんて、自己憐憫にすぎない。」
判断 3: ケンタ(10)
「俺は真実に賭けるよ。」
ケンタは苦笑しながら言った。「アヤコさんの悲しみ方、嘘には見えない。」
判断 4: サクラ(2)
「うーん、真実かな!」
サクラは明るい声で言った。「アヤコさん、本当に悲しそうだし。」
結果発表
モニターに浮かび上がる文字──
“真実”
記憶の報酬とペナルティ
正解者: ミカ、ケンタ、サクラ
ミカは「失った命の連鎖」の記憶を取り戻し、顔を覆う。
ケンタは「最初に売った人物の名前」を思い出し、微かに動揺する。
サクラは「自分が崇められていた集団の最期の記憶」を取り戻し、表情を硬くする。
不正解者: カズキ
カズキは苛立ちを隠せず、手元を叩く。「…また何かが抜け落ちた。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます