第八の告白者 サクラ 2

「次の告白者を指名します。」

無機質な声が再び響く。緊張が張り詰める中、モニターが新たな数字を映し出した──


“2”


サクラ。


無邪気な笑顔を浮かべていた少女、サクラ(2)が「あっ、私だ!」と楽しそうな声を上げる。


「わーい! ついに私の番!」

その場の空気を読んでいないような明るさに、他の参加者たちが微妙な表情を見せる。


「おい、サクラ。本当に分かってるのか?」

カズキ(5)が低い声で言う。「これはお遊びじゃないんだぞ。」


「分かってるよー。でも、怖がるのってつまんないじゃん!」

サクラは屈託のない笑顔を見せたが、その目にはどこか冷たい光が宿っていた。


「その軽さが本当なら、それはそれで怖いわね。」

アイリ(8)が静かに呟く。


「さあさあ、みんな注目して! サクラちゃんの大告白タイム、始まりまーす!」

サクラは明るい声で円卓を見渡した。


サクラの告白

「私ね、すっごい特別な子だったんだよ。」


「特別…?」

ミカ(3)が首を傾げる。


「そう! 私はね、いーっぱいの人たちに囲まれて、毎日『すごいね』とか『特別だよ』って言われてたの。」


その言葉に、他の参加者たちが戸惑いを隠せない。


「それって、何かの集団の話か?」

ユウスケ(4)が眉をひそめる。


「うん! 私、すっごく大事にされてたの。」

サクラの笑顔が一瞬だけ消えた。「だって、私には“能力”があったから。」


「能力?」

レンジ(9)が静かに言葉を繰り返す。


「うん、私の言葉には不思議な力があったの。」

サクラは無邪気な笑顔を浮かべながら続けた。「私が『この人はこうすべき』って言うと、みんなその通りに動いてくれるの。」


「それ、本当か?」

ケンタ(10)が驚きの声を上げる。「何それ、催眠術みたいなもん?」


「うーん、どうだろう? でも、私が言ったことはみんな信じたし、動いたよ!」


「それで、何をしたんだ?」

アヤコ(11)が厳しい目で問い詰める。「そんな力を使って、何をしたの?」


「…人を助けたり、困らせたり。」

サクラの笑顔が不気味なものに変わった。「どっちも、すごく楽しかったの。」


質問タイム開始


「質問タイムを開始します。」

冷たい声が響くと、参加者たちが次々にサクラに質問をぶつけた。


質問 1: カズキ(5)

「その“能力”って、本当に効果があったのか? 単に人を騙していただけじゃないのか?」


「どうだろうね?」

サクラは肩をすくめた。「でも、みんな私の言う通りに動いたよ。信じたくないなら、そう思えば?」


質問 2: ミカ(3)

「その力で困らせた人って、どんな目に遭ったの?」


「いろいろだよ!」

サクラは笑顔を浮かべながら言った。「大事な人と喧嘩させたり、仕事を失わせたり。あ、泣いて謝る人もいたなぁ!」


質問 3: ユウスケ(4)

「その“楽しい”という感覚、本気で言っているのか?」


「うん、すっごく楽しかった!」

サクラはあっけらかんと言った。「だって、私が動かしたんだよ? 人が私の言葉だけで動くの、最高に気持ちよかった!」


質問 4: アイリ(8)

「その力を使ったことで、誰か死んだ人はいるの?」


「うーん、どうだったかなー?」

サクラは目を閉じ、少し考えるようにしてから笑顔で答えた。「いたかもしれないし、いないかもしれないね!」


判断タイム

「質問タイム終了。」

無機質な声が響くと、参加者たちはそれぞれの結論を考え始めた。


判断 1: カズキ(5)

「嘘だ。」

カズキは冷たく言い放つ。「あいつの言うことには具体性がない。」


判断 2: ミカ(3)

「真実だと思う。」

ミカは小さく呟いた。「あの子、何かを隠している気がする。」


判断 3: ケンタ(10)

「俺も真実だな。」

ケンタは苦笑しながら言った。「あの無邪気さ、怖いぐらいだ。」


判断 4: アイリ(8)

「真実だと思う。」

アイリは静かに頷いた。「彼女の言葉には、無自覚な残酷さがある。それが本物に見える。」


結果発表

モニターに浮かび上がる文字──


“真実”


記憶の報酬とペナルティ


正解者: ミカ、ケンタ、アイリ


ミカは「かつて暗殺したターゲットの詳細」を思い出し、息を詰まらせる。

ケンタは「自分が売った“人”の顔」を思い出し、表情を曇らせる。

アイリは「不幸にした少女の最後の言葉」を思い出し、瞳にわずかな光を宿す。

不正解者: カズキ


カズキは苛立ちを隠せず、「また何かが…」と低く呟く。

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