第七の告白者 ユウスケ 4
「次の告白者を指名します。」
無機質な声が冷たく響き、モニターが再び明るく光を放つ。
“4”
ユウスケ。
正義感の強そうな警官風の青年、ユウスケ(4)が静かに立ち上がる。険しい表情のまま、深く息を吸った。
「俺か…。」
彼は一瞬だけ目を閉じて天井を見上げた。その仕草には、過去に押しつぶされそうになる感情を抑え込むような力が込められていた。
「おい、警官さんよ。」
カズキ(5)が冷ややかに口を開く。「お前の告白なんて、さぞ立派な話なんだろうな。」
「何も立派じゃない。」
ユウスケは短く答えた。「俺は…話すべきことを話すだけだ。」
「気楽にいこうぜ、ユウスケさん。」
ケンタ(10)が笑いながら軽く声をかけるが、ユウスケの表情は変わらない。
「…わかった。」
彼は静かに周囲を見渡し、言葉を紡ぎ始めた。
ユウスケの告白
「俺は、仲間を見殺しにした。」
その言葉が部屋の空気を一瞬で変えた。
「見殺し…?」
アヤコ(11)が驚きの声を上げる。
「そうだ。」
ユウスケはうつむいたまま続ける。「俺は警察官だった。…いや、今もそうだと思いたい。でも、過去に犯した罪がある。」
「仲間を助けなかった?」
アイリ(8)が静かに尋ねる。
「助けるべき状況だった。だが…俺はその場を離れた。理由は一つだ。」
ユウスケは顔を上げ、冷たく言い放った。
「自分が生き延びるためだ。」
「自分が生き延びるために仲間を見殺しにした…?」
ミカ(3)が呆れたような声を漏らす。「それで罪悪感があるとか、都合よすぎるわ。」
「…いや。」
レンジ(9)が口を挟んだ。「その冷静さ、本物だ。」
「本物なら、なおさら許せない。」
アヤコ(11)が憤りを隠さず言い放つ。「警察官なら、自分の命を懸けてでも守るべきものがあったはずよ。」
「俺もそう思う。」
ユウスケは静かに答えた。「だが、その瞬間、俺は恐怖に負けた。それだけだ。」
質問タイム開始
「質問タイムを開始します。」
冷たい声が響き、参加者たちが次々にユウスケに質問を投げかけた。
質問 1: カズキ(5)
「その“恐怖”ってのは、具体的に何だったんだ? 相手が強すぎたのか、それとも逃げる理由が他にあったのか?」
「相手は武装していた。」
ユウスケは苦い顔をして答えた。「俺の仲間は不意打ちを食らい、俺が助けに行けば、俺も間違いなく死んでいた。」
質問 2: サクラ(2)
「その仲間の人、どんな人だったの? 大切な友達だった?」
ユウスケは一瞬ためらったが、静かに答えた。
「…同期だった。俺たちは一緒に仕事を始めた仲間だったよ。」
質問 3: アヤコ(11)
「その後、遺族にはどう説明したの? 自分が助けなかったことは言ったの?」
ユウスケは額に手を当てた。
「…説明はすべて上層部がした。俺が関与しなかったように見せるためにな。」
「それで、あなたは罪悪感を感じているのね?」
アヤコが鋭い目を向ける。
「当然だ。」
質問 4: レンジ(9)
「自分を守るために仲間を犠牲にした。それが許される状況だったのか?」
「許されるわけがない。」
ユウスケは即座に答えた。「それでも、俺はその判断をした。だから今、ここにいるんだ。」
判断タイム
「質問タイム終了。」
無機質な声が響くと、参加者たちはそれぞれの判断を固めた。
判断 1: ミカ(3)
「真実だと思う。」
ミカは小さく頷いた。「彼の言葉には後悔が感じられる。」
判断 2: ケンタ(10)
「嘘だな。ユウスケさん、話が上手すぎるよ。」
判断 3: サクラ(2)
「真実! ユウスケさん、すっごく悲しそうな顔してるもん。」
判断 4: レンジ(9)
「真実だ。」
レンジは冷静に言った。「この場で嘘をつく理由が見当たらない。」
結果発表
モニターに浮かび上がる文字──
“真実”
記憶の報酬とペナルティ
正解者: ミカ、サクラ、レンジ
ミカは「医療現場で助けられなかった子供の記憶」を思い出し、顔を曇らせる。
サクラは「両親から期待されすぎた幼少期の記憶」を取り戻し、一瞬無表情になる。
レンジは「初めて暗殺を請け負ったときの記憶」を取り戻し、眉をわずかに動かす。
不正解者: ケンタ
ケンタは苦笑しながら「ま、当たる時も外れる時もあるさ」と肩をすくめたが、内心は焦りを隠せなかった。
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