第六の告白者 レンジ 9

「次の告白者を指名します。」

無機質な声が響き、モニターに次の数字が映し出される。


“9”


レンジ。


彼は座ったまま動かなかった。その表情は冷静を装っていたが、目の奥にかすかな苛立ちが見える。数秒後、ゆっくりと立ち上がった。


「…私の番か。」


「まあまあ、楽しみにしてましたよ、レンジさん。」

ケンタ(10)が軽い口調で笑いかけるが、レンジはそれに応えない。ただ静かに円卓を見渡した。


「私は話すべきことを話す。それだけだ。」

その言葉には、他の誰とも違う冷たさがあった。


「覚悟があるようで結構だな。」

カズキ(5)が皮肉混じりに呟く。


「覚悟などない。ただ、これは必要な手続きだ。」

レンジは無表情のままそう答えると、短く息を吐いた。


レンジの告白

「私は…誰も知らないところで命を奪ってきた。」


静まり返る部屋。


「殺人か。」

ユウスケ(4)が低い声で呟く。「その理由は?」


「理由は単純だ。」

レンジは冷たく言った。「金のためだよ。私は殺し屋として生きてきた。」


その言葉に、ケンタが目を丸くする。「いやいや、そんな簡単に認めちゃうの? 普通、隠そうとするでしょ?」


「隠す理由がない。」

レンジは静かに答えた。「私がここにいるのは、この罪のためだろうからな。」


「さっきのカズキと似た話ね。」

ミカ(3)がため息交じりに呟く。「でも、ただの命令じゃないってこと?」


「ええ、違う。」

レンジは短く答える。「私は、自分の意志でその仕事を選んだ。」


「金のためにね。」

アイリ(8)が静かに言った。「その仕事を選んだ理由は、それだけ?」


「それだけだ。」

レンジの声には迷いがない。しかし、その無表情の奥には深い闇が潜んでいるように感じられた。


質問タイム開始


「質問タイムを開始します。」

無機質な声が響くと、参加者たちがレンジに質問を投げかけ始めた。


質問 1: ユウスケ(4)

「標的を殺すとき、どんな気持ちだった?」


レンジは即答した。「何も感じなかった。それがこの仕事の鉄則だからだ。」


質問 2: サクラ(2)

「でもでも! もしその標的が子供だったら? それでも何も感じないの?」


「子供は標的に含まれない。」

レンジは冷静に答えた。「私のルールの中で、それは許されない行為だ。」


質問 3: アイリ(8)

「自分で作ったルール? それとも誰かに教えられたもの?」


「自分で作った。」

レンジは静かに頷いた。「誰かを殺すことで、他の誰かの命を守ることもある。だからこそ、ルールが必要だ。」


質問 4: ケンタ(10)

「そのルールって、本当に守ってたのか? 誰かを間違って殺したことはないの?」


レンジの目がわずかに揺れた。それはほんの一瞬だったが、鋭い参加者たちの視線を逃れることはできなかった。


「…守ったつもりだ。」

そう答えたが、その声はどこか自信を欠いていた。


判断タイム

「質問タイム終了。」

無機質な声が響くと、参加者たちはそれぞれの判断を口にし始めた。


判断 1: ユウスケ(4)

「真実だと思う。」

ユウスケは硬い表情で言った。「彼の言葉には迷いがない。本当にそうだったんだろう。」


判断 2: サクラ(2)

「うーん、嘘かな! だって、何も感じないなんて不自然だよ。」


判断 3: ケンタ(10)

「俺も嘘だな。レンジさん、ちょっとカッコつけすぎ。」


判断 4: アイリ(8)

「真実だと思う。」

アイリは冷静に頷いた。「人を殺す人間の言葉には独特の冷たさがある。それが彼にはある。」


結果発表

モニターに浮かび上がる文字──


“真実”


記憶の報酬とペナルティ


正解者: ユウスケ、アイリ


ユウスケは「不正を働いた同僚の死に関わった記憶」を取り戻し、険しい顔をする。

アイリは「不幸にした人物の泣き叫ぶ姿」を思い出し、瞳に陰りを宿す。

不正解者: サクラ、ケンタ


サクラは頭を抱え、「また何かが消えたよぉ…」と呟く。

ケンタは「ま、こんなもんだろ」と軽く笑いながらも、どこか焦った表情を見せる。

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