第五の告白者 アイリ 8
「次の告白者を指名します。」
無機質な声が冷たく響き、モニターが次の数字を映し出した──
“8”
アイリ。
神秘的な雰囲気を漂わせる女性、アイリ(8)が静かに立ち上がる。その仕草にはためらいも見えなければ、他の参加者が見せるような動揺もなかった。
「私の番みたいね。」
落ち着いた声でそう言うと、アイリは視線を周囲に巡らせた。
アイリの冷静な態度
「あなた、本当に緊張してないの?」
ミカ(3)が疑わしげな目でアイリを見つめる。
「緊張しないわけじゃない。でも…この場にいる理由は分かっているから。」
アイリは小さく笑みを浮かべた。その表情にはどこか悟りを開いたような雰囲気があった。
「妙な奴だな。」
カズキ(5)が呟く。「これが作り物の態度じゃなければいいがな。」
「作り物じゃないわ。」
アイリは即座に答えた。「私が何をしてきたのか、それを話すだけのことよ。」
アイリの告白
「私は…人の運命を操った。」
その言葉に、一瞬、円卓の空気が固まる。
「運命…を操った?」
レンジ(9)が静かに問いかける。
「そうよ。」
アイリは軽く頷く。「私は占い師だった。でも、その占いを利用して、意図的に人を不幸にしたことがあるの。」
「不幸に?」
サクラ(2)が首を傾げた。「どういうこと?」
「彼らが選ぶべき道を誤らせるような嘘をついたということ。」
アイリの声はあくまで平静だった。
「占い師って…それが本当に人を操る力になるのか?」
ユウスケ(4)が疑問を呈する。
「占いを信じる人にとっては、運命そのものよ。」
アイリは静かに答えた。「“この道を選べば幸せになれる”と言われれば、その通りに動く人もいる。」
「それを利用して、わざと不幸にしたと?」
レンジ(9)が問い詰めるように続ける。
「ええ。それが私の罪よ。」
質問タイム開始
「質問タイムを開始します。」
声が響くと、参加者たちが次々とアイリに質問をぶつけた。
質問 1: カズキ(5)
「操った相手は何人だ? 具体的に覚えているのか?」
アイリは少し目を伏せ、考えるようにして答えた。
「10人くらいかしら。でも、全員の顔を覚えているわけじゃない。ただ…中には、取り返しのつかない結果になった人もいる。」
質問 2: サクラ(2)
「不幸にした人がどんな目に遭ったか覚えてる? 誰か死んじゃったりした?」
「ええ、1人だけ。」
アイリは表情を曇らせる。「その人は、私の言葉を信じて、大事な取引を捨てた。結果として、すべてを失ったの。」
質問 3: ミカ(3)
「どうしてそんなことをしたの? ただの嫌がらせ?」
「違うわ。」
アイリは即座に否定した。「私には、彼らに本当の運命を見せたくない理由があった。…それが何だったのかは、自分でも分からないけれど。」
質問 4: レンジ(9)
「自分の言葉にそんな力があると分かっていて、なぜわざと不幸にした?」
「支配欲だったのかもしれない。」
アイリは静かに答えた。「その瞬間、自分が“神”にでもなった気がしたのよ。」
判断タイム
「質問タイム終了。」
無機質な声が告げると、参加者たちはそれぞれの判断を固めた。
判断 1: カズキ(5)
「真実だ。」
カズキは短く言った。「人を支配する快感に溺れる奴はいる。それが占いという形でも同じだろう。」
判断 2: ユウスケ(4)
「嘘だと思う。」
ユウスケは鋭い目でアイリを見据える。「運命を操るなんて話、簡単には信じられない。」
判断 3: サクラ(2)
「真実だと思う! アイリさん、何かちょっと怖い雰囲気あるもん。」
判断 4: レンジ(9)
「嘘だな。」
レンジは冷たく笑った。「もし本当にそんなことをしていたのなら、もっと後悔が表に出るはずだ。」
結果発表
モニターに浮かび上がる文字──
“真実”
記憶の報酬とペナルティ
正解者: カズキ、サクラ
カズキは「任務中に出会った少女との記憶」を取り戻し、静かに目を閉じた。
サクラは「幼少期に聞いた恐ろしい予言」の記憶を取り戻し、一瞬だけ表情が硬くなる。
不正解者: ユウスケ、レンジ
ユウスケは眉をひそめ、「…くそっ」と呟く。
レンジは何も言わずに目を伏せ、無表情のままで座り続けた。
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