第二の告白者 ミカ 3
「次の告白者を指名します。」
無機質な声が響く。参加者たちが緊張した面持ちでモニターを見つめる。その数字は…
“3”
「私?」
ミカ(3)は自分の手首を見つめ、驚きと戸惑いの混ざった声を漏らした。
「気にしすぎるな。話すだけだろ。」
低い声でそう言い放ったのは、カズキ(5)だった。大柄な体躯と冷たい目つきが、その言葉に威圧感を与えている。
「話すだけ…? 簡単に言わないで。」
ミカが声を震わせて答えると、カズキは鼻で笑った。
「簡単だろ。お前が何を隠していようと、それが嘘か本当か判断するのは俺たちだ。」
ミカはその言葉に何も言い返せなかった。
ミカが困惑して立ち上がる気配を見せたとき、円卓の向かい側からケンタ(10)が声を上げた。
「おーい、深刻になりすぎだって。ほら、笑顔、笑顔!」
「ケンタさん、そういうの違うよ。」
サクラ(2)が無邪気に言う。「怖がるのは仕方ないよ、だって、すっごい大事なこと話すんだもん!」
「確かに。」
端に座るアイリ(8)が小さく頷いた。どこか不思議な空気をまとったその女性は、静かに話を続けた。
「でも、それがミカさんの運命なのかもしれない。」
「運命とか、そういう話をしてるんじゃない。」
レンジ(9)が落ち着いた声で割り込む。「このゲームでは、誰がどう動くかがすべてだ。」
「ちょっと静かにして!」
母性的な雰囲気を漂わせるアヤコ(11)が、声を張り上げるように言った。
「ミカさんが話しやすいようにしてあげなさい!」
ミカはアヤコに目で礼を言い、深呼吸した。「…分かったわ。話すわね。」
ミカの告白
「私は…人を助ける看護師だった。」
その言葉に、参加者たちが微かに安堵の表情を浮かべる。しかし、次の言葉がその場の空気を凍りつかせた。
「でも…私は、助けないと決めたことがある。」
全員が一斉に息を呑む。
「助けを求める目の前の人を見て、それでも私は手を出さなかった。」
「どういうことだ?」
カズキが眉をひそめ、冷たく言った。「お前が看護師なら、人を助けないなんて選択肢はありえないだろ。」
「……彼は助けを求める資格のない人だった。」
ミカは小さな声で答えた。その表情は苦しそうで、全員の視線が彼女に集まる。
そのとき、無機質な声が響き渡る。
「質問タイムを開始します。」
質問タイム
質問 1: ユウスケ(4)
「その『資格のない人』って、具体的にどういう人物だったんだ?」
ミカは眉を寄せ、目を閉じて記憶を探るように答えた。
「犯罪者…のような人だった気がする。自分が犯した罪の罰から逃げるために、助けを求めていた。」
質問 2: ケンタ(10)
「その場には他に誰もいなかったのか? 見てる人がいれば助けないって選択はしないはずだろ?」
「…私しかいなかった。」
ミカは視線を伏せる。「…でも彼が追われていたことは確か。」
質問 3: サクラ(2)
「ねえねえ、その人を助けなかったとき、どう思ったの? 罪悪感とかあったの?」
ミカは小さく唇を噛み、苦しげに答えた。
「…あった。でも、同時に安堵もあったの。私が助けたら、もっと悪いことが起きると思ったから。」
質問 4: アヤコ(11)
「その場面で、彼がどんな言葉をかけてきたか覚えてる?」
「助けてくれ…そう叫んでいた気がする。でも、その言葉には自分を正当化する何かが込められていた。」
ミカは小さな声で答えた。
判断タイム
「質問タイム終了。」
無機質な声が告げると、参加者たちはそれぞれの結論を固めた。
判断 1: ユウスケ(4)
「真実だ。」
ユウスケは強い口調で言った。「罪悪感と安堵、その両方を感じたというのはリアルすぎる。」
判断 2: ケンタ(10)
「俺は嘘だと思うな。」
ケンタは軽く笑いながら首を傾げた。「そんな曖昧な記憶は話を作った感じがする。」
判断 3: サクラ(2)
「真実! ミカさん、優しそうだもん!」
判断 4: アヤコ(11)
「…嘘だと思う。罪悪感と安堵の間で揺れるなんて、都合が良すぎる気がする。」
結果発表
モニターに浮かび上がる文字──
“真実”
記憶の報酬とペナルティ
正解者: ユウスケ、サクラ
ユウスケは「隠蔽した不正」の記憶を取り戻し、眉をひそめる。
サクラは「幼少期の幸せな家族の記憶」を取り戻し、目を輝かせる。
不正解者: ケンタ、アヤコ
ケンタは肩をすくめ、「ま、いっか!」と軽く流すが、その心中は不明。
アヤコは小さく首を振り、「何かが消えた…」と呟く。
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