試験休みの朝活中に、クラスメイトの女子と出くわす
椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞
いつもと違う時間に出会うと、ドキドキするね。
今日は試験休み。有意義に過ごすぞ。
ソロ活バンザイなボクは、友だちがいない。作ろうとも思っていなかった。帰宅部で、授業が終わったら即帰宅だ。
バイトはしていないが、おこづかいでポイ活しているため、お金はそれなりにある。
土日はミックで試験勉強していたけど、学生がうるさくて集中できなかった。
今はそんな生徒たちも、いない。部活の朝練でも、あるのだろう。
今日はポイントを使って、前から行きたかったラーメン屋さんに行くぞ。
朝からラーメンをキメるとか、不良まっしぐらさ。
ここのラーメン屋さんは、ボクの帰り時間だとめちゃ混むんだよね。
よし。並ばずにすぐ食券を買えたぞ。食レポサイトが勧めていた、チャーハンセットの券を買う。
いざゆかん!
「えっ!?」
そこには、クラスメイトの
「あっ。
いつものきちっとした制服姿ではない。真冬なのにTシャツ姿というのが、またいつもと違う感じがしてドキドキしている。
「お、お願いします」
ためらっている場合じゃない。こうしている間にも、お客さんが殺到してしまうんだ。
ボクは、食券を小町さんに差し出す。
「承ります。め、麺の硬さは、いかがいたしましょう?」
来たぞ。ラーメン屋独特のオーダーが。
ラーメン屋には、独特のルールを持っている系統もある。
いわば、試験のようなもの。
「硬めで!」
張り切って答えてしまった。
変に思われてないかな?
「はい」
小町さんはクラスの優等生らしく、テキパキとオーダーを取る。
どうやら、うまくいったみたい。シミュレーション通り、試験を突破したようだぞ。
「味の濃さは?」
「濃いめ!」
いかん! 食い気味で答えちゃった!
店員から聞かれる前に答えるのは、マナー違反である。
「油の量は?」
「普通で、お願いします」
「かしこまりました。硬め、濃いめ、普通で」
「お願いします」
ふうううううううう!
水を一気飲みする。
ああ、オーダーできた。
でも、嫌われないかな?
それにしても、バイトしている小町さん。めっちゃかわいすぎ。
「おまたせしました」
「ありがとうございます」
ふたりともかしこまって、頭を下げまくってしまった。
「どうぞ」
「あっ。すいません。いただきます」
お見合いしてしまったじゃないか。
食べなくちゃ。
「ハフハフ。ズズウ!」
うんまい!
朝一番から、並んだ甲斐があった。最高だ。
醤油豚骨ベースの、中細麺。
大学生ウケがいいとされる、濃厚な味わいである。
ラーメンには珍しい、うずらが入っているのが特徴だ。
チャーハンもうまい。二大巨頭の白飯と悩んだけど、チャーハンも最高に美味しいじゃないか。
これをラーメンに入っていた海苔で巻いて……飛ぶ! これは、飛んでってしまう。
今のボクは、紙ヒコーキにされた問題用紙だ。
いろんな悩みが吹っ飛びそうな、深みがある。
小町さんと目が合ってしまった。
いかん、いつもと違う小町さんを、どうしても目で追ってしまうよ。
ダメだダメだ。相手は微笑みかけてくれるけど、あれは営業スマイル!
そそくさと食べて食べて、さっさと帰るぞ。
ごちそうさまでした。
「おいしかった?」
レジで、小町さんから声をかけられた。
「はい。めっちゃおいしかったです。ありがとうございました」
ポイントで会計をして、店を出ようとする。
でも、通い詰めるのはやめよう。
小町さん目当てだと思われちゃうからね。
キモがられるのはイヤだから。
「あの、岡山くん!」
「あ、う」
「また、お越しください。待ってます」
「はい」
よし、通い詰めよう。
試験休みの朝活中に、クラスメイトの女子と出くわす 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます