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リビングで夕食を済ませた畑村は、いつもの家族団欒の時間を捨てるように自身の部屋へ走っていった。

 パソコンに身を引きつけられるように椅子に座ると、先程のライブ視聴者からメッセージが返って来ているか確認した。その時の畑村は自分でも分からないぐらい異様にその主のメッセージが見たくて仕方がなかった。それと同時に、何故か受信メールを確認するボタンを押すのに手が震えていた。

 好奇心と未知の恐怖心を同時に抱えながら、カタカタと震える指先で受信メールのボタンをクリックすると、そこには30件程ファンから来ているメッセージの一番上に先程メッセージを送った主から返事か来ている事に気がついた。


「メッセージ送っていただき本当の誠にありがとうございマス。是非相談に乗って頂けるとうれしいです☺️」


 少し変な文章になってはいるが、ちゃんと丁寧な言葉がそこには書かれていた。その文末には、ほっぺたを赤らめて微笑む顔の絵文字が付いてあった。


畑村 「本当の誠にってなんだよ。まぁ初めにやらかしちゃったのは俺だし、乗るしかないか。」


 と、畑村はしぶしぶ送り主の恋愛相談に乗ることにした。


畑村 「そういえば相談したいことってなんですか?」


送り主 「あの…禁断の恋って…していいものなんでしょうかね?」


 その送り主の一言で、畑村は膨らんだ風船の空気が抜け萎んだように、頭から足まで全体の力が抜け、最後には「疑問」と言う2文字だけが頭に浮かんだ。

 

畑村 「禁断の恋…?なんだよそれ、意味わかんねぇよそんなクソみてぇな事でこの俺の時間奪いやがって。」


 畑村は今にでもこの送り主をブロックしたい衝動を抑えながらメッセージを返した。


畑村 「禁断の恋だとしても、貴方がその人を好きになったならそれで良いんじゃないですか。」


 その言葉を送信する時の畑村の指は、未知の恐怖の震えから怒りの震えへと変貌した。

 数十秒後、畑村のメッセージに既読マークが付き、「入力中」という文字が相手の方に付いた瞬間畑村は人生で一番と言えるど思いっきりパソコンを閉じた。


畑村 「誰がこんなやつの相談乗るか。」


 畑村は、破裂しそうな頭を抑えながらベッドへ飛び込み、そのまま怒りが沈んでいくように、目を閉じていった。


 

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