第2話

 翌日、登校したぼくにイチカは「果たし状」を突きつけた。ぼくはそれを破って捨てた。「なっ!? 正統なる一騎打ちの申し出を受けぬというのか!」「その言葉で十分。いいよ受けるよ。こんなものいちいち用意してこなくていいって」「うー、せっかくがんばって書いたのにー。昼休みに屋上で勝負だ! 忘れるなよ!」「そっちこそビビっておしっこもらさないうようにね」「な、なんだと! なんと下品なやつ! 絶対にぶっ殺してやるからな!」と吐き捨て去っていった。と言っても同じクラスなのだが。しかし律儀に毎朝定時に登校し、授業を真面目に受けているこいつは本当にこの星を滅ぼす気があるのだろうか。

 

 そして昼休み。イチカはささっと教室を出ていった。ぼくは一人で華子に作ってもらったお弁当ーーご飯の上に海苔で「お兄さまLOVE」と書いてあるーーを食べた。そしてトイレでタバコを一本吸い、自販機でコーヒーを買って飲んでから悠々と屋上へ向かった。

「遅いぞ!」屋上に着くなりイチカに怒鳴られた。ぼくは「え、もしかして昼休みに入ってから飯も食わずにずっと待ってたの?」と訊いた。「そうだ! 悪いか!」こいつ変なとこで真面目だな。ぼくは訊いた。「お腹空いた?」「うん、お腹空いた……じゃなくてじゃなくて、勝負! 勝負だ!」イチカは日本刀を抜いた。「はいはい、いつでもどうぞ」「いくぞ! 渡辺雅! 切り捨てごめーん!」「あっUFO」「えっ」その隙にぼくはイチカの手から刀を払い、四つん這いに組み伏せた。「このー、卑怯者ー!」じたばたするイチカをグッと押さえつける。「お前、よく見るとかわいいな。出るとこは出てるし」「ええっ!?」イチカは顔を赤くした。ぼくはその口をキスで防いだ。舌を無理矢理イチカの口内にねじ込む。「んっ……んんっ」そして手を乳房に這わせた。「あっ、だめっ……」しばらくディープキスをしながら胸を揉み続けた。口を離すと、イチカの呆けた顔を見ることができた。「かわいいよ、イチカ」そう言いながらぼくは彼女の股に手をやった。「びしょびしょじゃないか。これならすぐに入るな」ぼくはイチカのパンティを剥き、ズボンを下ろしペニスを出した。「だめっ……それだけは……」「こんなに濡らしておいてよく言うよ」ぼくは挿入した。「いっ……」「なんだお前、初めてか」「うん……抜かなくていいから、優しくして……」「りょーかい」ぼくはゆっくりと腰を振る。しばらくするとイチカは喘ぎ出した。「気持ちいいか?」と訊くと「うん、気持ちいい……」と言うので、「じゃあ、少し強くするぞ」と腰を速めた。「あっ、あっ、あっ」いい締め付けだ。ぼくも快楽が迫ってきた。自然と腰の運動が激しくなる。「イチカ、イクぞ!」「えっ、だめ! 抜いて!」これに反し、ぼくはイチカの膣内に射精した。

「わたしの負けだよ……。地球侵略は諦める」「ああ、それがいい」ぼくはタバコを吸いながら応えた。「さっきどさくさに紛れてわたしのこと名前で呼んだでしょ」「うん、呼んだ」「じゃあ、わたしもあんたのこと名前で呼んでいい?」「いいよ」「ありがとう雅! そろそろお昼休み終わりだから教室行こ?」

 

 放課後ーー。「みーやびっ! 一緒に帰ろっ」イチカだ。「ああ、じゃあお前の『基地』とやらを見せてくれ」「えっうちに来たいの? やだー誰もいないからってわたしのことめちゃくちゃにしちゃう気なんだ♡」誰もいない、ねえ……。「どうかな。ほら、行くぞ」

「うん!」イチカはぼくの手を取った。振り向くと、彼女はにこにことこちらを覗き込んでいる。ぼくは手を握り返してやった。

 

 「基地」は普通のマンションだった。ただ、その中は生活感が一切なく、エヴァンゲリオンの綾波の部屋みたいだった。その隅にはコンソールがある。「そうだ、機関に現状報告しないと」イチカはパタパタとコンソールへ向かう。「待てイチカ。侵略は順調に進んでいると報告しろ。でないとまた別の、より強力な侵略者が来る。そうしたらぼくが殺される」「んーそうだね、分かった」イチカはカタカタとキーボードを鳴らした。「よし、OK。雅、夕飯くらい食べてくでしょ? なんか作るよ」「いや、夕飯は今ごろ妹が鼻歌唄いながら作ってるだろうから家で食う。妹の生き甲斐なんだ。分かってくれ」「わ、分かった。他の家の政治には口を出さないよ。じゃあその代わり……」イチカはぼくに寄り添い、ズボンの股間の部分を摩りだした。「サービスしてあげる」「そいつはどうも」

 華子ほどではないが、イチカもフェラチオが上手かった。「上手いじゃないか。どこで覚えた?」「わたしだってAVくらい見たことあるもの」ぼくはなんだか華子が恋しくなってきた。ぼくはイチカの頭を掴み、腰を振った。そして早々に果てた。

「じゃあまた学校でな」「うん、ばいばい」さて困った。イチカはぼくにぞっこんだ。これでは遊びようがない。仕方ないが消えてもらおう。物騒な決断をするぼくであった。

(つづく)

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逆上グランギニョル 片山勇紀 @yuuki_katayama

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