コラム:入手困難なポケモンについて

 当時の記憶を振り返り、集めるのに苦労した、または苦労しそうな例を考えてみる。そしてゲームメーカー側の意図も深読みしてみることにする。


注:あくまで『赤・緑』に基づき、追加バージョンである『青・ピカチュウ』は考慮しない。


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・フシギダネ→フシギソウ→フシギバナ

・ヒトカゲ→リザード→リザードン

・ゼニガメ→カメール→カメックス


 オーキド博士から最初にもらえるポケモン。いつ頃定着したのか覚えていないが「御三家」と呼ばれるやつらである。三者択一の上に二段階進化で、全てを図鑑に記録しようとするとかなり手間がかかる。同時進行した友達とシナリオ途中で通信交換し、途中進化系を記録する必要があるからだ。


 素直な気持ちでプレイすると、そのバージョンのパッケージに対応するポケモンを選びがちである。つまり赤バージョンならヒトカゲ、緑バージョンならフシギダネを選んだプレイヤーが多数派だと思われる。どちらにしてもゼニガメを選ぶプレイヤーは(少なくともごく初期の段階では)少数派だったはずだ。


 しかし、前の記事でも書いたように「ゲーム開始直後のデータから連れて来る」ことで簡単に増やせる(1匹あたり10分ほどかかるが)。通信ケーブルと新品のROMが揃えば、誰もが思いついたであろう恒例行事である。


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・オムナイト→オムスター

・カブト→カブトプス


 化石からの再生。二者択一かつ進化系が存在する。厄介なのはアイテムとしての入手からポケモンになるまでに、かなりのタイムラグがあるという点である。新規に始めた友達に持っていない方を選ぶように頼んでも、化石の段階ではどっちがどっちだか混乱しやすい。また後からスタートしたほうの立場では、選ばなかったほうの進化前を図鑑に登録するには、さらにもう一周必要となってしまう。


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・シャワーズ/サンダース/ブースター


 イーブイからの進化系。三者択一なのだが、この選択肢には罠がある。実は初代において、イーブイが手に入るタマムシ到達時点で手に入る水ポケモンはかなり限られており、なんと最初にゼニガメを選ばなければ、コイキングをぼったくり価格で買うしかない。当然、戦力として育てるにはかなりの手間がかかる。


 そのため、ゼニガメを選ばなかった多くのプレイヤーは水タイプのシャワーズに進化させるだろうし、ゼニガメを選んだ場合は(草タイプを使う)ジム戦で有利な、炎タイプのブースターに進化させるだろう。当時、ノーヒントで自然にサンダースを選んだプレイヤーはかなりの少数派だったはずである。


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・サワムラー/エビワラー


 上記と比べると、特にひねりのない二者択一。だが初期技を見比べると、貴重な格闘タイプの「二度蹴り」が使えるサワムラーのほうが、死ぬほど弱いノーマル連続攻撃の「連続パンチ」しか使えないエビワラーより遥かに魅力的。この頃になると事前にセーブしてから両方を比べてみるプレイヤーが多数だろうが、その上でエビワラーを選ぶ人は少数派だと思われる。


 後に四天王のシバとの戦いで、属性パンチやカウンターを使うエビワラーがお披露目されると、二周目ではエビワラーを選びたくなるのだが、実際に入手して育ててみると今度は属性パンチの弱さにがっかりする羽目になる(当時は特殊攻撃扱いであるため)。このあたりのプレイヤーの実体験は、攻略本『遊びつくす本』でも語られており、多くの人が共感するところだと思われる。


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・ニドクイン/ニドキング/ピクシー/プクリン


 月の石で進化する。月の石は非売品で、ゲーム内では5個しか手に入らない上、そのうち2個は隠しアイテムである。そのため、進化に必要だが数が足りないという事態が起こり得る。このうちプクリンのみはハナダの洞窟でいくらでも野生で出てくるが、分布情報ではわからない。


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・フーディン/カイリキー/ゴローニャ/ゲンガー


 通信進化。前の記事で述べたようにゲンガーだけは直接的なヒントがある。カイリキーについても、サイクリングロードのスキンヘッズがゴーリキーを繰り出した上で「レベルを上げてもなかなか進化しない、石で進化するかも」と発言するが石には非対応、つまり「レベルアップでも石でもない手段で進化する」ことが示唆される。このあたりの見せ方は上手だと思う。


 フーディンとゴローニャはノーヒント。特にゴローニャはゲーム内で見る機会すらない。


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・カモネギ/ベロリンガ/バリヤード/ルージュラ


 上記とは対照的に、ゲーム内のNPCとの交換イベントでのみ入手可能。ニックネームが固定(おしょう/なめぞう/バリバリ/まさこ)で変更できないという異色な例である。通信交換のサンプルのつもりで作ったと開発者が証言していたのを見た覚えがあるが、そのために4枠も専用のポケモンを用意するのが太っ腹である。


 進化できないこともあって能力は低めだが、「ID違いのポケモンは1.5倍の経験値を得られる」という恩恵のおかげで育てるとなかなか強い。カモネギ以外は技マシンを使わないといまいちで、しかもバリヤードとルージュラでサイコキネシスの取り合いになるのが難点か。


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・ヤドラン/キングラー/シードラ/アズマオウ


 レアでもなんでもないが、図鑑の分布を真に受けるとかえって回り道する羽目になるという意味で特筆に値する。歩行エンカウント(=分布情報が参照可能)では双子島の特定の階層で低確率でのみ出現するが、すごい釣り竿があれば簡単に釣れる(ただし分布情報では見られない)。場所自体は23番道路(ラスト手前)またはハナダの洞窟(隠しダンジョン)というわかりやすい配置で、試行錯誤の大切さを改めて教えてくれる。


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・バタフリー/スピアー/ピジョット/ギャロップ/ギャラドス/カイリュー


 進化系が野生出現せず、経験値を稼いでレベルアップさせなければならない。Lv55が必要なカイリューが特に大変だが、炎タイプで育てにくい上にLv40のギャロップも地味にきつい。通信交換で経験値を1.5倍にすると大幅に手間を省ける。


・ペルシアン/オコリザル


 レベルアップ必須かつ、バージョン限定。同時進行している友達がいるなら、交換後にお互い進化させてから戻すというプランもありかも知れない。


・ゴルダック


 緑では野生で出てくるが、赤ではレベルアップ必須。もっとも緑でもレベルアップで進化させたほうが楽かも。双子島の分布ではヤドランと対になっているが、あちらと違って釣りでは出ない。


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・エレブー/ブーバー


 各バージョン限定かつ、敵トレーナーが使用しないので野生エンカウントしないと見ることすらできない。さらに出現場所が限られている上に非対称(無人発電所/ポケモン屋敷)かつ低確率で、ノーヒントだと発見するのが最も困難な部類だと思われる。


 なおストライク/カイロスも敵トレーナーが使わない上にバージョン限定だが、こちらはスロットのコインと交換可能という抜け道がある。


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・ガルーラ/ケンタロス


 サファリゾーンの目玉。エレブーとブーバーがノーヒントで最も入手困難だとしたら、答えを知った上で一番苦労しそうなのがこの2体だと思われる。ノーヒントでは、まずガルーラの存在がサカキ戦で明かされるので、分布をたどるうちにケンタロスのほうも自然に見つけることができる(ケンタロス自体を使うトレーナーもいるが、ジムで倒しそこねる場合がある)。


 なおサファリゾーン内ではレアポケモンとしてラッキーが強調されるのだが、こちらはハナダの洞窟で通常エンカウントするのであっさり捕獲可能。ノーヒントであれば、むしろラッキーを狙う過程でガルーラとケンタロスをゲットできるケースが多いだろうか。


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・ポリゴン


 スロットの景品は上記のストライク/カイロスのほか、ケーシィやミニリュウといった捕獲が難しいポケモンをあっさり入手できる穴場だが、ポリゴンだけはコイン交換でしか手に入らない。しかも赤だと9999枚(カンスト)を要求される。もっともシルフカンパニーで読める資料にて、人工ポケモンであることが説明されているので、特殊なポケモンである(野生ではいないと予想できる)ことは、ちゃんとヒントがある。


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・カビゴン


 捕獲可能なポケモンとしては、初の固定エンカウント戦闘となる。せっかくダメージを与えても眠って回復してしまう。直前で訪れるポケモンタワーで手に入るゴース系が天敵で、ダメージを完全に防げる上に、催眠術と固定ダメージで何もさせずに削ることが可能。ヨクアタールで必中化すれば完封である。ヨクアタールがポケモンタワーに落ちていることを含めて、意図的な配置を感じさせる。


 ゲーム中2体存在し、仮に失敗したままセーブしてしまっても挽回のチャンスがあるのは、以下の伝説のポケモンを踏まえると親切な設定である(捕獲失敗すると「山へ帰っていった」と、まるで再会チャンスがあるかのようなミスリードをさせるのはややいただけないが)。無事に仲間にできれば圧倒的なHPと攻撃力でインパクト抜群である。


・フリーザー/サンダー/ファイヤー


 レベル50という、おそらく遭遇時点では圧倒的な強さで立ちはだかる。攻撃も強烈で、いかに凌いで弱らせるかという勝負である。実は眠りか凍りが入ってしまえばモンスターボールですら10%程度で捕獲でき、ダメージ量は捕獲率に全くと言っていいほど影響しなかったりするのだが、ノーヒントで真面目に捕獲しようとするとかなり苦戦すると思われる。


・ミュウツー


 隠しダンジョン最奥部に鎮座する。パラメータ的にも最強の特殊能力に加え、レベル70という数字の暴力で襲いかかってくる最強のポケモン。到達時点でサイコキネシスに一発でも耐えられるポケモンはごく一部だと思われる。マスターボールはここで使えとばかりの配置だが、所詮は初代の仕様なので、眠りか凍りさえ入れば楽々捕獲可能。眠らせた後はヨクアタールとスピーダーを使えば、たとえ起きられても完封できるだろう。

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