第9話 理力のしくみ②
この世界の
「じゃあ一定期間過ぎた
唯舞の覚えている限りではリース期間というのは大体数年単位の契約になる。
そして時期が来たら現在借りているものはリース会社に返却する決まりになっていたはずだ。
最初に一括購入して初期投資をかけるよりも、リースで借りた方が会社としては経理上の取り扱いやコスト管理がしやすくなると事務の先輩から聞いたことを思い出す。
確かに世の中は常に進歩していて毎年新しい物が出回るし、古いスペックのものをずっと使用するよりも数年ごとに新しい製品にしていったほうが効率がいいのだろう。
「契約が切れた
(うん、お得意先とは仲良くしようねってやつだ)
やはりちょっとでも分かるとっかかりがあると飲み込むのが容易になる。
……カタカナ横文字長文だけはちょっと難しいけれど、
そんな唯舞の様子にリアムは少し驚いたように目を開く。
「というかイブさん、理解が早いですね。異界人の世界には魔法の類いはないと聞いていましたが」
「あぁはい、そうですね。魔法とかは正直まだよく分かっていないんですけど、
所謂、メーカー側に所有権があるオペレーティング・リースではなく、割高にはなるが最終的に購入するファイナンス・リース、もしくは初期投資の一括購入。
それがこの魔法にもあるのだろうかと思ったが、リアムは少し難しそうな顔をした。
「出来なくはない……というのが答えですかね。確かに精霊を介さずに
「本物の、生命力?」
生命力の話は先ほど聞いたばかりだから覚えている。
ただ、そこをあえて”本物の生命力”と言うのならば。
「そうです。寝て起きたら回復する通常の
「あぁ……なるほど。それは、すごく危険ですね……」
リアムの答えは唯舞の予想よりも何倍も物騒だった。
この世界には一括購入ないし、ファイナンス・リースは無いものと認識した方がよさそうだ。
自分の命を縮めてまでも
「だからこそ僕らにも理解できない
聞けば、今から10年以上前にも唯舞と同じく異界人がそのなんたら皇国に召喚され、当時の戦況はかなり押され気味になっていたらしい。
その時にはすでにエドヴァルトは軍人として前線にいたらしく、ムードメーカーそうな彼にしては苦虫を嚙み潰したような顔で当時の事はあまり語らなかったのだとリアムが言っていたから、本当に酷い状況だったのかもしれない。
そこで唯舞はふと考える。
領土問題があるにしろ100年以上もの長い間続くという両国の戦争というものは果たして本当に領土だけの問題なのだろうか?
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