第6話 異世界と異界人③
謝罪から続けるようにリアムは口を開く。
「僕もですが、先ほど中佐……えっと、怪しいグラサンじゃなくて、綺麗でおっかないほうです。あの人が不安にさせるような事を言ってすみません。中佐はめちゃくちゃ優秀なんですけど、ちょっと配慮とか気遣いとか……そういうのを生まれた時にお母さんのお腹に置いてきたみたいで」
中佐、というのはきっとあのアイスブルーの瞳の青年の事だろう。
白雪のような真っ白な肌にプラチナシルバーとでもいうのだろうか、白銀の髪が美しいまごう事なき美青年だった。
――リアムの言う通り美人相まって、かなりおっかなかったけれど。
「……ふふふ、いいんですか。そんな風に言っちゃって」
会話的に彼らはリアムの上司にあたるはずだ。
そんな彼らを表すにはかなり砕けた言葉だが「バレなきゃいいんですよ。イブさん、内緒にしてて下さいね」とリアムは悪戯っぽく笑う。
彼が気配りが出来て、世渡りが上手いのはこれで間違いない。
「話を戻しますね。本来ならばイブさんは召喚国であるリドミンゲル皇国に行くはずでした。ただ、何かしらの予期せぬ状況になって我がザールムガンド帝国の領地に来た……と現状では推測されます。大佐がイブさんを保護すると言ったのは異界人がリドミンゲル皇国に召喚されると
リアムは唯舞に分かるようにゆっくりとした口調で話してくれる。
ふむふむと頭の中で情報を整理しながら、唯舞は尋ねた。
「……なるほど。では、あの……中佐?が反対したのは?」
「恐らく、イブさんがこちらにいることを知ったらリドミンゲル皇国の奴らが今以上に猛攻してくるからでしょうね。あちらの国からしたらイブさんは切り札みたいな存在なので。それでも見つからないとなったらうちの国中にリドミンゲルの間諜がなだれ込んでくるでしょうからその掃討にも兵力が割かれるので中佐はそれを危惧しているんじゃないかな。まぁあの人の性格からして、リドミンゲル皇国に戻せって言っただけでも実はかなり優しいんですけど……」
「?そうなんですか?敵国の国力が上がっちゃうんですよね?」
「あぁーうん……そうなんですけどねー」
言いずらそうに淀んだリアムはぽりぽりと頬を掻き、斜め上に視線を向けた。
言っていいものかと考えているようだ。
「効率を重視する中佐なら、面倒ごとになるくらいなら始末しろと言ってきても不思議はないので」
「………………始末」
つまり、唯舞が最初に出会っていたのがエドヴァルトではなくアヤセだったら、最悪、命の危険があったかもしれないという事だ。
さすがは異世界で、戦争中の国。
敵国の力を増大させてしまうような存在は消してしまえという判断なんだろう。
慌てて否定するようにリアムがぶんぶんと両手を振る。
「あ!でも、今は大丈夫ですよ!?大佐は保護するって言ってるのでイブさんの身の安全は保障します!ただ、今後どうなるかは……大佐達次第なのでちょっと僕には分からなくて……すみません」
謝るリアムにいいえと唯舞は
アヤセが中佐でエドヴァルトが大佐という事はエドヴァルトの方が役職的には上のはずだ。
なので最終的な決定権は一番階級の高い
…………会話の内容的には誰が上司で誰が部下かはちょっと図りかねるけれど。
そう思って唯舞はあのサングラス越しに見えた美しい
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