暗殺計画

るありも

飯野暗殺計画

 横山は企んでいた。

―嫌いな先生を殺りたい。

 まずは誰だろう。嫌いな先生..。たくさんいる。

飯野、佐藤、ウォーター....。まぁ順当に最初の飯野で行こう。

 まずは方法だな。いい忘れていたが、物理的に殺すわけではない。

”教師をやめさせる”それが真の目的だ。

 今回の場合は飯野の心を殺そう。

 あのおばあさん心をどうやったら殺せるのか。そんなの簡単だ。

"論破"

 フフフフフフ...。思ったより楽しそうだ。

自分が楽しめるうえに飯野は教師を辞めるのだ。こんなに最高なことはあろうか。

考えただけでもう楽しい。

 

 数学の時間。今日、何故か飯野は来なかった。そして今週はもう数学がないのだ。

 普段なら嬉しいことだが今は違う。来週まで暗殺は待たねばならない。悔しい。まつしかないか。


 水曜日。待ちに待った数学。一週間まった。時間は十分にあった。数学の時間に飯野が来る確率は1/6。そして前回の授業が、来なくなって7回目。だから、今日、ほぼ確実に飯野は来r...案の定飯野は来た。

 計画実行だ。あいつは凡ミスでも"理解できない"と思い込んで小学生にするような典型的な”とってもわかりやすい”解説を長々としてくる。このタイミングだ。論破。

 飯野が近づいてきた。俺はノートに九九を書き始める。9の段だ。

 9*1=9 9*2=18.....9*9=82 これで飯野は確実に指導してくる。フフフフフ。

ほら来た。

「あぁ。これね、9*9は81だよ。だってね、りんごが9個入った箱があるとね、それが9箱あったらりんごは何個になる?」

あーもうムカつく。なんだろうこの人は。

 人の気持がわからないんだろうな。

 さぁ、楽しい論破タイムの始まりだ。

「え、これただの書き間違いですよね。ホンキで間違ってると思ったんですか?中学二年生が?」

「え、あ、う..」

「あと、9*9以外合ってるのにその教え方します?全部間違ってるならまだわかりますけど。」

「あ、おん...」

「あと、あなたは9*1~9*8までの正解を称賛せず、9*9=82という一つの間違いを嘲笑うようにけなした。これって先生としてどうなんですかね。」

「あ、う、、」

 飯野は、教室から出ていった。

 勝ちを確信した横山はその日、初めて"授業の楽しさ"を実感した。



 翌日、飯野は元気に学校にやってきた。作戦失敗だ。

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暗殺計画 るありも @rualimo_fp

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