チョコレートを買うために冬を選ぶ者もいる

 チョコレートを見るといそがしさだけしか覚えられない冬がやってきたのだと考えてしまう。


 今のところどの季節でも売っているチョコレート。

 形も味もよくできている。

 人の身体を参考さんこうにしたのかと感じるほど。


 ほろ苦さは甘さをおさえる。

 みんな苦い人生は送りたくないのかもしれない。

 せめて奥からやってくる甘さを引き立てる程度ていどのほろ苦さならよろこんで我慢するかもしれない。


 いすにすわって学ぶ授業と誰かとやる運動。

 他にもあるのか。


 チョコレートを買いに行く冬の寒さは少なくとも学びではない。


 吐息といきが白くなってまで冬を選んでチョコレートを買うなんて物好きに見えるかもしれない。


 タイトルは忘れたけど海援隊かいえんたいが歌っていた『冬を選んで咲く花もある』ように、チョコレートを買うために冬を選ぶ者もいる。


 消えていく感覚を守るために記録しよう。

 ほろ苦さも甘さも分からなくなる前に。

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