鍛冶師ルル、命を狙われるが生き延びて覚醒、ざまぁな復讐劇!

魔石収集家

1 燃え上がる背信

鍛冶場に響く金属音は、いつもルルの心を落ち着けてくれた。

赤く燃え上がる炉の熱気の中、彼は一心不乱に鋼を打ち続けていた。

剣を作ること。それは彼にとって技術であり、誇りであり、生きる理由そのものだった。


「よし…これで仕上がりだ」


ルルが手にしたのは、ギルドから特別に依頼された剣だった。

どんな戦士でも魅了されるような美しい光を放つ一振り。

だが、彼の胸の奥には微かな違和感が残っていた。

運び込まれた奇妙な鉱石の光。付属する資料に記された不可解な符号。

どれも見過ごすことができないものだった。


「これ…何かおかしいな」


鍛冶職人としての経験が警鐘を鳴らす。

ルルは剣の仕上げを終えると、すぐにギルド本部に連絡を入れた。


「運び込まれた鉱石について確認したい。あの素材に関する情報を教えてくれないか?」


だが、何度問い合わせても返事はなかった。

ギルド側が意図的に黙殺しているようにも思えた。

それがルルの不信感をさらに膨らませる。


「仕方ない。直接本部に行って問いただすしかないな」


彼は剣を手に取り、ギルド本部へと向かった。


ギルド本部に着くと、幹部たちが広間でルルを迎えた。

その場には重苦しい空気が漂い、幹部たちの顔には険しい表情が浮かんでいる。


「…材料について聞きたいことがある」

率直に問いかけた。


「この鉱石…何か妙だ。禁忌の技術が絡んでいるんじゃないのか?」


幹部の一人が冷笑を浮かべ、嘲るように答えた。

「お前の仕事は剣を作ることだろう。詮索は不要だ」


その一言に、ルルの心はざわついた。

軽くいなされるだけならともかく、明らかに何かを隠している口ぶりだった。


「いや、返事も寄越さずに黙っているあたり、何か後ろめたいことがあるんだろう?」

ルルの追及に、幹部たちは一瞬だけ視線を交わした。


その瞬間、広間の空気がさらに冷たく張り詰めた。


「お前は気づきすぎた。それが問題だ」

幹部の一人が低い声でそう言うと、広間の入り口から足音が響いた。


振り返ると、かつての仲間だったトラスが剣を構えて立っていた。


「トラス…お前まで何をしている?」


トラスの目には、かつての友情の欠片も感じられなかった。


「悪いな、ルル。だが、命令だ」


幹部が冷酷に言葉を続ける。

「お前は今ここで始末される。秘密を守るためにな」


その言葉を聞いた瞬間、ルルは驚愕と怒りが混じり合う感情を覚えた。

「俺を…始末する?」


目の前にいるかつての仲間たちが、自分を殺そうとしている。

それが事実だと理解した時、ルルの胸には激しい怒りが湧き上がった。


「なるほどな…俺の人生を狂わせるつもりか。そうか、命を狙うというなら、敵として叩き潰すしかない」


トラスを含む複数の仲間たちが剣を抜いた。

ルルはとっさに床に転がっていた鉄の棒を手に取り、応戦を始める。


「こんな形で戦うなんてな…!」


かつての仲間たちとの戦いは、言葉で言い表せないほどの虚しさと怒りを伴った。

しかし、ルルは鍛冶職人として鍛え上げられた腕力を駆使して必死に反撃を続けた。

だが、数の差は圧倒的だった。



ルルは激しい追撃をかわしながら鍛冶場へ逃げ込む。

だが、追手たちはすぐに鍛冶場を取り囲み、ついには火を放った。


燃え盛る炎が鍛冶場を飲み込み、ルルは絶望の淵に立たされる。

だが、その中で彼は決して屈しなかった。


「くそっ…俺の人生奪いやがって。絶対に許さん!」


命からがら逃げ延びたルルは、炎に背を向けながら静かに誓った。


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