与えられた生

第11話

しばらく光と蓮花のことを話していると、ガチャ、という音がして蓮花が起きてきた。



「あぁ、起きたか。おはよう。」



「お、おはようございます…。」



光がいることに動揺しているのか少し怖がっている様子だ。



「元気そうだね、良かったよ。」



「………?」



「おい、光。蓮花はお前のこときっと覚えてないぞ。」



不思議そうな顔をする蓮花をちらと見て助け舟を出す。



「あぁ、そっか。」



すんなりと納得し、光が少し姿勢正す。



「君が飛び出してきた時に車を運転してたんだ、一条光。よろしくね。」



「よろしく…お願いします。あの…本当にすいませんでした。」



「いいんだよ、君に怪我がなくてよかった。…そうだ、龍に頼まれて服買ってきたから着てみなよ。」



「……龍?」



「俺のことだ。」



そういえば蓮花の名前は聞いたが自分の名前は名乗ってなかったな…。



「…ッフ、龍らしいね。」



「るせぇな……。蓮花、そこの奥行ったら風呂あるからシャワーでも浴びてこい。服はそこに置いてあるから好きなの選べ。」



「あっ……はい。」



ちまちま歩いて風呂場に向かう蓮花。



まだちょっと寝ぼけてるらしい。



「…あの子、なんだか危なっかしいね。」



「……俺の気持ちが少しはわかっただろ?」



「うん…なんとなく。」



放っておいたら、本当にすぐ死んでしまいそうなほど危なっかしくて、弱くて、小さい存在。



目の前にそんな奴が現れたら…死ぬとわかっていて手放すバカはいねぇだろ。

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